ヤマハ発動機 スノーモービル 不動車PZ480ccの整備

 更新2022.06.14  2022.03.28 2022.01.06 2021.07.02 2021.04.04 2021.03.10

 

 New エンジン修理

 New 治らない” 2ストエンジンに多い片肺

 
 
 近年ワカサギ釣りで乗る為の旧車(走ればよい程度)を探されている方も結構多いように感じます、ただ現実として何処まで整備なされているかを踏まえると中々予算が合わないのが現実です。
特にわかさぎ釣りはグループで行う方が多く、その様な理由からなのか求めるスノーモービルは「二人乗りで、セル付、リバース付(後退)」を希望されますがハッキリ謂って安くて、多機能で、おまけに整備済み、と言った買う側 に取って都合の良い車両って、まず持って存在するはずもありません。
 
一方手放す側から見れば、何かしらクセがあったり、経年劣化による著しい消耗があったり、それらを修理するとなれば多額の費用がかかる、ですから手放すのであって、買う側と売る側はまったくの正反対は当たり前です、言わば買う側の修理前提は必須なのです、その良い塩梅が難しいところでしょう。
それから、購入後必ず気づきますがモービル運転初心者なら、二人乗りモービル程運転操作は難しいです、一人乗りモービルと違って更に左右に曲がれません、モービルのハンドルは乗車人の全体重移動で曲がる事の出来る構造の為、ハンドル操作だけでは曲がれない事に気づかされます

話を戻しますがある程度自身で整備が出来る方でしたら、初めから動かない事を前提(不動車)としたレストアベースを買った方が安いでしょうし、反面整備にはまったく自信がないと言う方であればしっかり整備済みの車両を購入されることが「前 提」となるでしょう。 しかし、中古車両の場合、毎年乗車時期が来ますと、経年劣化による「あれがダメ」、「これれがダメ」と言う様に消耗個所が出て来ます、放置して置けば、向かった先で立往生!! その時のレスキュー費用の方が多額となる事は間違い御座いません、結果から見てもどちらが安心できてお安く済せられるか!!

その様な状況を避ける為にも(作らせない) 少なくとも一定程度の経年劣化は解っているはずですから、前もって交換、疑う個所は外して動作確認、逆に整備は費用を抑える為の事前作業、徐々にですができるだけ自分で行う羽目にはなると思います。 

 始めは誰もが技量0レベルです、私ももちろんです。 初めは僅かでも知っている方から聞いたり見たり、あちらこちらのネットサイトを見ながらも勉強を重ね重ね、ヤマハ発動機空冷タイプのスノーモービル整備にチャレンジして来ました、中でもヤマハのPZはとても人気がありますね、たとへ不動のモービル(全く動かない・廃車・部品取り)であっても高値で取引される程です、このPZ人気の秘密って? なんだろうか!! その昔ヤマハ発動機が2ストバイクを発売していた頃、空冷のRD50、125、250ccのバイクがあり、更に水冷化されたRZ250ccやRZ350cc、これらの二輪車は爽快な走りそして瞬発力、それは痺れる様な加速はおなじみで、そのエンジン搭載がスノーモービル版、PZ480ccエンジンです。

@ 2スト空冷エンジンの為超軽量で整備や改造も含め扱いやすい

A 軽量車体「172kg前後」 驚異的な軽さです、通常のモデルであれば同じ2スト車でも殆どが200kg越えです。

B 排気量480ccながらエンジン左右リードバルプ装備の「52馬力車両、500ccのV-MAXに似たモデルもある、何れも2ストローク強制空冷ファンを搭載したエンジンである。
   排気量1000ccのRX−1は推定馬力の高いモデルで「150馬力」と驚異的、でも4ストエンジンでありともかく劇重量車、おそらく燃料満タン状態だと300kgは超えているでしょう

C 最終モデルは1999年製迄である為、中古部品も含めまだまだ手に入れやすい

D 機械式キャブレター使用である為、素人レベルでも修理しやすい

E ショートモデルの48リンク121インチからロングトラック(キャタ)の54リンク136インチ、ラグは1インチ〜1.5インチ リンク(穴)間のピッチサイズは2.52キャタの物が標準

F 改造すると144インチ(57リンク)幅1.5インチ最大156インチ(60リンク) ラグ2インチへのロングトラック迄改造ができる

G 20年以上前の車両にも関わらず、中古部品も含め手に入りやすい

H PZはオプションでセル取付可能だったり、最初から標準装備の車両もあります、ただし何れの車両にもリバース搭載車はないが、姉妹モービルのVT480ccにはリバース機能がついているのでそちらから移植すればリバース化は可能となる。

 リバース化ついての詳細

 何故か不明だがリバースはどの車両にも搭載されていません、そこでET400TR/ETU410/VT480/VT500XLのリバースギヤを手に入れ移植することができます、これらのリバースギヤであればそっくり移植できる様です、Yahooオークションで見かけますが7万円前後の高値で売りに出ている様です、最近解ったのですが、リバースギヤ単体だけ手に入れてもPZへの移植が完成できません、その理由は元々PZに設置されていた、センカダリーシャフトが長過ぎる為緩衝して装着できないからです、その為セカンダリーシャフトもVT480ccのセカンダリーシャフトも必要となってしまいます。 何故ならば元々装着されていた純正PZギヤケースに比べ、リバースギヤケースになるとケースが厚みを増している為、PZ側のスポロケットシャフトとセンカダリーシャフトの使い回しが利きません、しかしスポロケットシャフトに関してはVT480の物がヤマハ代理店を通じで購入可能、センカダリーシャフトについては完売品に付、従ってVT480の中古品を手に入れて移植しなければ完成できません。 そこで調べたところ、新品のスポロケットシャフトは7,000円くらいでヤマハ発動機側で現在も発売中ですが、逆に上記にも書いたように、セカンダリーシャフトについては既に非売品(完売品)となっている為手に入る事は不可能、販売当時のセカンダーシャフト新品価格で19,000円くらいしてた様です。

結論から謂うと、PZへリバースギヤー移植する場合、リバースギヤ本体スポロケットシャフトセンカダリーシャフトも同時に移植しなければ完成できない事が解りました。

これらを上手く探し求めるならば、不動のETU410cc/VT480ccを購入し取外してPZへ移植するかヤフオクで10万くらい支払って既に外したリバースギヤのフルセットを購入するかです、手間や暇を考えると後者の方が完成迄は早いです、一方次シーズン迄にゆっくりと仕上げるお気持ちなら、不動車購入という選択があるでしょう。

何れにしても今回はお子図解に余裕もない上、御覧の様にこの不動PZ(エンジン片肺)を治すことが先決なので、あれこれと苦労して細かな部品調達から測定装置や専用工具など多額がかかっています、従って現状リバース化への余裕はありません、 でもPZのリバース化は夢(何時かは行って見たい)です。 取り分けS340でリバース化しましたのでリンク張って置きます。

PZのリバース搭載車は滅多に無く、大変珍しい車両です、もしリバース化したモデルが売りにでもだされたら相応な高値で取引されるのは間違いない事でしょう。 如何せん以下の写真の中古 を手に入れるだけでも約10万円は必須です、そこへ設置取り付け費用の工賃を加えた総額を考えれば、PZ完動車1台は購入できる値段となるからです。

 

ベンチャー480(VT480)のリバースギヤセット

 

ベンチャー480(VT480)のセカンダリーシャフト

   治すか、部品取り車にするか、その判定は何処?

当初書いた様に、中古車の原則は何かしらのクセがあったり、しっかりと消耗いる部分が当たり前です、そこで欠かせない部品交換が可能かどうかです。
そんな理由から今回不動車両を手に入れ、長きに渡りコツコツと整備していている最中にこのページを立ち上げました。
不動モービル車購入時、特に気になるのがエンジン圧縮「7k」があるか、ないか? 
エンジンの圧縮(標準圧縮比7k)があればだいたいのエンジンは再始動可能かなぁ、、っと思います、それであっても走行距離が4000km超えた経年劣化の中古車両であれば、万一を考慮すれば、シリンダー内壁の縦傷などを見て左右のピストンリングの同時交換か、左右ピストンやピストンベアリング迄も交換が望ましいです、もし圧縮が乏しい場合は部品取り車両として見た方が宜しいでしょう!!

理由はエンジン内部、特に腰下と謂われるクランクケース内のプライマリークラッチ側と反対側のフライホイール(ジェネレータ)の其々の端に装着してるオイルシールから圧縮漏れの可能性も疑がわれ、すっかり硬化したOILシール、あるいは微細な皹割れならば交換すれば圧縮比はあがるでしょう、またOILシールは通常クランクケースの上下溝にきっちり挟まっているので、オイルシールが抜け落ちたり外れたりすることはありません、しかし交換するには一旦車両からエンジンを卸し、更にエンジンを分解するとなれば多額の工賃がかかってしまいます。

また、上下のクランクケースを開けると判りますが至るところ2ストOILが噴霧散布状態なのでケース内が錆びていることはありません、次にクランクシャフトに「ガタ」が出ている場合、あるいはクランクを挟んでいるベアリングの摩耗、この様なダメージも疑われます、しかし数多くバラシテ見て見ましたが、ヤマハスノーモービルの精度の高さから見て、30年以上過ぎても、4000km以上越えてもまったくブレやガタのないエンジンが殆どでした。 走行中に起きたエンジン焼き付きによるクランク折れ曲がりは、殆ど2ストOILが燃焼室へ届いていない為に起こる焼き付き? つまり2ストOILを吸い上げるOILポンプ側の何らかの不具合が殆どです、それでもOILポンプの単体故障も見にしたことがありません。
OILポンプを廻す連結ギヤケース内のグリス切れによるギヤの摩耗は度々目にします。
1番疑われる原因として、2ストOILの入れっぱなしそして数年間放置、これが圧倒的に多いと思われます、詳しくはエンジン焼きつきページのリンクを張って置きますので参照願います。

クランクシャフト両端にあるオイルシールの微細な皹、経年劣化によるオイルシールの硬化、外周摩耗や肉薄、ピストン及びシリンダー内の深い傷、これらによって引き起こされる圧縮漏れが増強、仕舞いに高域回転域までふけ上がらない、著しくなると不安定なスローなど、この様な中古モービルを再始動するには膨大な修理費用が嵩むので、一般に避ける人も多いのではないでしょうか。

ですからどんなに古くともエンジン圧縮のあるものを求めるのかなぁ、、と感じます。
それでもエンジンはダメでも車体損傷も少なく保管良好車両であれば、逆に実働エンジンさえ手に入るなら、エンジン乗せ換えと謂う選択もありです、あるいは既に不動PZ車があって同じ車両のよい部品のみを取り外し1台に組み上げる(2個一)の選択肢もあるかと思います、2個一の場合苦労して不良部品を探し当てながら修理交換するより部品移植が容易な分大幅に作業効率が上がるかと思います、反面費用拠出面は重いですね。
何れにしても一定程度の整備をしなければまともな走行はできないと云う事でしょうか、結局一つ一つ外して動作確認しながら修復または交換するか、生ける物は残留し振り分けながらの整備作業となることは間違い御座いません。

 不動モービルの初動整備について

エンジン圧縮確認するには、リコイルを引けば即解ることです、しかし行き成りそれをやってはいけません、先ずは一旦プラグを外してCRCやラスペネ等でプラグホールへ向ってソコソコ噴霧します、十分噴霧したならば次にエンジンに付いているプライマリーシーブ(ドライブシーブ)を両手を使って回して見る、どちらへ回しても特段方向はないが、一定程度回転させることでエンジン内部のピストンとシリンダーに油が回って滑らかな動作へ戻してあげる事が初動操作となります、通常でも8か月前後保管状態うです、まして数十年も放置してある中には固着の著しいエンジンもあって、プライマリーシーブ自体回わらないものもありました、その場合はスプレーしてから無理に回さず2日〜3日間放置し十分油が浸透した時期をみはらかって回して見るのもコツです、如何せん無理に回す事だけはシリンダー内壁に傷を作る為、絶対に避けなければいけません。 問題がなければプラグを取り付けリコイルを引いて見る、ここで大変重ければ圧縮良好、微妙ならば圧縮測定器で見る(標準圧縮比7k)事となります、万一圧縮比が6kとかチョイ低い場合はプラグホール内へ2ストOILを垂らし、リコイル数回引くか、もしセルが回せるならば5秒くらい始動後の圧縮比を測定し7k前後ならば、ピストン上端外周を覆うピストンリング交換で復活できる可能性もあるので修理交換、それ以下ならばエンジン腰下の修理も疑われるので手を付け無い方が無難でしょう、理由は上にも書いた通り自身で修理できる環境下なら別ですが作業工賃が多額となる為です。

 OILポンプと連結ギヤ

OILポンプを外した写真 

 裏側(エンジン側)から写した写真

 

放置の不動モービルはグリスが乾燥しているか
コペコペに固着しているかです、すべて取り除い
て綺麗に清掃してからシリコングリス等をたっぷ
りと塗ってから再び組み戻しする事が大切です。

 エンジン異常なく圧縮確認ができたら

プライマリーシーブクラッチを特殊工具で外し、エンジンとプライマリーシーブクラッチの間に設置されているオイルギヤとエンジン回転ギヤケーブルにオイルポンプが一体となって設置(上の写真参照)されているので、一体をそっくり取り外してギヤ内部の確認は必ず行う、外したギヤ内部を見ると殆どの不動車はギヤ内部のグリスが乾燥どころか粗コペコペに固着、仮にそんな状態でエンジン始動したものならば、近い内に2サイクルOILが切れてエンジン焼き付きを起こすので、ここだけは絶対外してギヤ内に高級グリスをたっぷりと塗って組み戻ししたいパーツです、外したついでにOILポンプの詰りもないか確認し、OILホースもすべて交換します。
OILポンプその物が壊れていたことは殆ど見た事がありませんが、OILポンプを動かす為の連結ギヤ内部のグリス切れは多いです、仮にグリスなしだと抵抗と摩耗が著しい原因でエンジンブロー(壊れる)パターンの様です。


プライマリーシーブクラッチ外しは、ヤマハ発動機から専用工具が販売されているので、それを手に入れないとほぼ外せません、また手に入れても排気量が大きくなるエンジン程、締まりと固着が強烈、テコでも動かないと謂う場合もありました、24mmのクラッチボルトを外したら、その外した穴に向って特殊工具を装着(はめ込み)、エアーインパクトレンチでガンガンしながら回し押し込む感じですが、ガッチリと強烈に食い込んでいる為、クラッチが外せない事も多いです。
この場合私は最終手段そして、わざとプライマリーシーブクラッチが真上を向く様、モービル車体を真横へ倒します、クラッチホール内へ向ってラスペネを十分噴きつけ数日間は放置、その後エアーインパクトでガンガン回し外れればやったー! でも外れない時は、特殊工具ボルトめがけて重いハンマーで数回叩いて見る、エアーインパクトはリズミカルにカンカン叩きますが、規則的な決まった重さの叩き方なので外れない場合もある、従ってそれ以上の重さを加えた叩きで衝撃を加えると極微量の隙間さえあけば即座にラスペネが瞬間浸透し、行き成りパキンと金属音がでた瞬間に外れます、それでもダメならば、、、、クラッチホール内に水を入れて特殊工具を回し押し込んだ後にガスバナーで温めながら大ハンマーで叩くと、中の水が蒸気(スチーム)になって膨張する為、スポンっと抜けます、

たかが、プライマリークラッチ外しですが、それは固く固着しているモービルにぶちあたると簡単な作業では済みません。
その昔、私がRX-1を乗車していた頃自分で外せなく、あるモービル専門ショップで外して貰う為に、わざわざ積載し行って外して貰った経験が御座います、さすがにベテランでした、自分で1週間かかっても外せないクラッチをホンノ10分前後で外して仕舞いました、対価作業料として¥5,000支払いましたが、コツを知らない場合は相当厳しい作業でした。

プライマリーシープクラッチを抜く特殊工具は全部で3種類御座います。

呼び名は「プーラー」と謂うそうです。下に写真掲載(2021.03調べ 税込み)

@品番 90890-01898 L80mm 価格2400円
A品番 90890-01539 L90mm 価格1370円 @基本母体の先端が抜き差しできてAのL90mmに入れ替えて使用します。

B品番 90890-01897 L80mm 価格2400円

@ RX-1、バイバーやナイトロ系 A VKやVT、V−MAX及びPZ系 B ET、S340、オベイション、BT系 この3つの特殊プーラーを揃えるて置くと殆どのヤマハスノーモービル車両に対応します、@のプーラーでRX-1やナイトロ系を外した経験から、プーラー先端が曲って変形し、抜き差しできなくなって使い物にならない場合もありました。基本排気量の大きくなるにしたがって取外しは極めて困難を極めます、排気量と馬力と固着の相対に比例、増して購入後数十年間一度も外していないなんて車両に当たると相当手ごわい難作業となります、でも上記手法を用いれば焦らずとも時間をかけて行う事で、外せると思いますので是非頑張って下さい。

お浚いしますと、中古モービルや不動モービルのプライマリークラッチを外さなければいけない理由とは

@ プライマリークラッチとエンジン本体の間に挟まっている、連結ギヤケース内のグリス固着か、乾燥しているので、取外して清掃、再度たっぷりグリスアップして組み戻しなければ、オイルポンプが故障し噴出が途切れれば、一瞬にしてエンジン焼き付きを起こす恐れがある。

A プライマリークラッチ本体をソコソコ分解、本体シャフトを上下に動かしスムースな移動があるか、シャフトに錆やキズがあるなら綺麗に磨いて組み戻しする、あるいはクラッチウエイトと呼ばれる重りの開閉がスムースか、等も見て問題ないことも確認する。
組み戻してエンジンをかけた時クラッチから「カチャカチャと大きな異音」がしないか、低速回転〜高速回転した場合、クラッチがスムースにドライブベルトを挟み、スムースに開くかを確認、もしクラッチのシャフトにドライブベルトのすり減ったカーボン(黒い粉)付着など著しく固着していれば、クラッチ開閉動作が遅かったり、高速回転にしても狭くならない(ベルトを挟み込まない)、あるいは挟んだまま低速回転になってもクラッチが開かない(ベルトを挟んだまま)などの症状を出します、最悪シャフトに錆等が発生していれば綺麗に磨かないとエンジン停止も起こします。

特に中古モービル購入者はAの症状が起こりやすく、突然湖上で走る事ができなくなるライダーが毎年の様にいます、原因は明らかで無整備と云ってよいでしょう!!
参考写真 エンジンに付属するOILポンプ

参考写真 プライマリークラッチ

プライマリークラッチの錆と傷

プライマリークラッチを固定するボルト

クラッチを外すプーラ(特殊工具)

プーラ(特殊工具)の挿入方法


 キャブレター内の清掃と整備(オーバーホール)

次にエンジン始動に向けて欠かせないのがキャブレターです、キャブレターの手前には必ずエアーBOXが設置、このエアーBOXを固定しているボルト(2箇所)を外します、するとエアーBOXとキャブを連結してるブーツ間に多少のゆとりが出来るので、エアージョイントブーツ固定バンドを2ヵ所を外し、インシュレーターバンド(エンジン側のバンド)も命いっぱい緩めるか、外しても構いません。、その後エアージョイントブーツ左右を撤去すれば、すっかり隙間が出来、キャブから左右の燃料ホースを外し、キャブを取り出します、殆どヤマハ製モービルはエアーBOXを固定しているボルトを外さないとキャブを外す際の隙間が生れません。

不動モービルのキャブを外してびっくり!! キャブの底面となるフロートチャンパーと呼ばれるお椀状の受け皿内には、錆びて剥がれた様な鉄片と、真っ赤に染まった腐ったガソリンと鉄片が混じり合ってぎっちり入ってる場合が殆どでした。
こんなところにガソリン供給してエンジン始動するはずもなく、腐った緑色ガソリンどころの域ではありません。
それでもエンジン圧縮さえあれば、エンジン始動する場合が殆どでした。

先ずどこから手を付けるか、

@ フロートチャンパー内をピカール等を使って可能な限り磨いて綺麗にする。

A エンジンコンデショナーを用いてメインジェット、スロージェット、リードルボルプやリードルジェットやチョーク穴、エアー側にある穴3か所に向かって徹底的な噴きつけをし、数日間放置(所謂漬け沖状態)、最後に各穴をキャブ専用工具(超細い針金)を使い、挿入して(刺して)詰りがないか、貫通しているか等を徹底的に確認する、すべての穴が貫通している状態にする、またゴムキャップの脱落や変形等あれば交換、パイロットスクリュウーは外す前に、必ず何回回した時に締め切るか数えてメモをする、回す前の位置に傷を付けて印をして置く人もいるくらいです、そしてパイロットスクリューを外した穴に向かってエンジンコンデショナーを噴霧する。

B 何度も書きますが、不動モービルのキャブは著しく詰まっています、ガスケット等もすべて交換はもちろん、ニードルバルプの先端がすり減ってないか、パイロットスクリュウーの先端に傷や黒いカーボン付着がないか、僅かな傷などあれば交換必須です、

C ブーツが切れたり僅かな穴などがあれば100%二次空気を吸い込んでしまい、中高回転まで吹けなくなったり、息切れしたり、安定したスロー回転ができなくなったりします。 二次エアーを見抜くには、エンジン始動させてキャブのブーツ付近めがけてパーツクリナー噴霧を試みる、万一二次エアーを吸い込んでいれば即座にスロー変化するので試して下さい。

D フロートチャンパーが当たる面にはゴムガスケットがあるのでこれも交換、古いガスケットの再使用はガソリン漏れを起こす事が多いです。

E キャブ内のフロー(浮き輪)の高さ調整をチェックする、ヤマハの基準値9.0mm〜13.5mmの範囲です、計測はキャブ本体を上向きにする、するとフロート底面が上向きになる、キャブ本体外輪とフロートの下との間を計測し基準値内か確認する、古くなると殆どの場合、沈み勝ちとなり、燃料の油面が高くなります、基準値より油面が高いとガソリンがオーバーフローを起こします。
フロー自体も外したら耳元で左右に振って見てカシャカシャと音がしないか確認する、あるいは目視してすり減ったり穴など開いてないかも見る。できれば水抜き剤に浸して浮かして見る。

F 通常ベテランの整備屋さんでしたらメインジェット、スロージェット、ニードルボルプやニードルジェットは取り外して交換しますが、素材が真鍮の為柔らかいのが特徴で、素人がその辺にあるマイナスドライバーで回すと、簡単に舐めてしまう恐れがあります。
従ってリスクが大きい為、運よく外せれば無論交換望ましいのですが、危険なりクスも伴なうので、それならエンジンコンデショナーの漬け置の方が適格でリスク回避に繋がるのではと感じております。

G 一応キャブクリナーも御座いますが、本当に頑固な詰りはエンジンコンデショナーがよく、値段もピンキリの値があるようです、標準的なものでクレ工業さんのもから、中程度のものでワコーズさんのもの、高い物は240mlで3,000円を超すコンデショナーもある様です。

H パイロットスクリューとエアースクリュウーの違い、先ず付いている位置がエンジン側にあるものならばパイロットスクリューでエアーBOX側についていればエアースクリュウーとなります、それでこの両者の違いが問題です。パイロットスクリューは燃料の濃さ薄さを調整いたし、エアースクリュウーは空気の濃さと薄さの調整するものらしく、エアースクリュウーは既に燃料の濃さは調整されたものに対し、空気の濃さ薄さのみの調整ネジの様です。 ヤマハスノーモービルの場合殆どはパイロットスクリュウーが付いてますが、BR250等にはエアースクリュウーが付いているものもある様です。

調整方法ですが、基本外す前に(回す前に)何回転で閉めきれるか数えメモしますが、同時にネジ位置とキャブ本体にキズを付けて留め位置を標て置く程、精密な位置要求がなされるパーツです。 しかしうっかり緩めたり既に外してしまったりした場合もあるので、その場合パイロットスクリューを一旦締め切った位置(真鍮素材なので絶対強く閉めてはいけません)から1回と1/4回転戻した位置から4/1回転づつ閉めて行くと燃料が薄くなり、緩めて行くと燃料が濃くなります、スローの一番高い位置を探ります、、その位置でエンジン高回転いたし、スムーズに噴けあがり、息つきやモタツキのない位置に合わせ、更に4/1回転以内で締めた付近と謂われています。
経験から片肺(2気筒エンジン)のエンジンだった場合、パイロットスクリュウーを廻しても全く調整が利きません、片肺となる原因を探して下さい。

※ パイロットスクリュウー調整が効かない場合 基本片肺等でエンジン始動しない場合を除き、閉めるか緩めるかで通常エンジン回転数は変動します、しかしキャブレター内部の「ニードル」に新品赤色の丸いガスケット(M10サイズ)を挟んだ状態でキャブ本体に閉め込みますが、交換しなかった場合、素材が厚紙のような材質のため既に劣化で薄くすり減りったり、切れていたり、こうなっているとニードルを閉め込んだつもりでも隙間が生じる為、ガソリンが異常に入る場合があります、エンジンが掛かり難い、プラグが異常に濡れる、パイロットスクリュー調整が効かない(廻しても変動なし)事があるので経年劣化に注意!!

徹底的なキャブクリーニングにも関わらず、パイロットスクリューをいくら閉めてもスロー回転変化が起こらない時は、二次空気の吸い込み(ブーツ等のひび割れ)、パイロットスクリュー先端の傷やカーボンの付着、プラグが被って失火している場合、イグニションコイル不良、経年劣化によるプラグキャップの抵抗値(5kΩ前後)不良、これは特に多い、ラインコード端の錆や腐食、CDI本体の故障、エンジン圧縮不良等が考えられます。

パイロットスクリューは一番締め切った状態で燃料供給停止となり、緩める程燃料が濃くなっていくのに対し、エアースクリュウーは一番閉めた状態で空気が遮断され、緩めて行くと空気が濃くなっていくパーツと覚えて下さい。
調整中はエンジンをかけたままにしながらスクリュー廻しをするので、エンジン停止しないよう何方かにアクセルを握って頂き、スロットルコントロールをして頂けると調整が楽ですね。

基準値 1200rpm(+-100)
旧式の二気筒キャブ

パイロットスクリュウー

訂正フロントチャンパーではなくフロートチャンパーの誤り

写真掲載できませんでしたが、フロートの付け根に
ニードルバルプとニードルジェットが設置されており
ガソリンの開閉をしています、解りやすく謂えば水洗
トイレタンク内にある、浮き玉の役目と同じで一定の
油面の高さで留める構造です、仮にニードルバルプ
の動作不良となった場合、まったくガソリン供給がな
くなるか、逆に入り過ぎて溢れ出るかです、殆どの場
合不良時は供給過多、従ってオーバーフローとなる
様です、症状として溢れる以外に2気筒エンジンの
片肺も現象です。
片肺エンジンの場合、プラグに電圧供給するCDIの
故障が疑われたり、CDIとプラグコネクターとの間の
ライン(電線)、特にプラグ覆うカバー端に、離れある、
のではないか? 再度強く締めつけたり、錆ていない
か? 数ミリ切って再装着等しては見ましたが、今迄
扱った不動モービルでは、CDIやプラグコネクター端
のラインを数ミリ切って片肺エンジンが改善した試は
一度も御座いません。
 ヤマハのモービルは長期間不動状態でも先ずもっ
てCDIの故障にぶつかったことはなく、仮にCDIが故
障すればエンジン自体始動できなくなるので、ラ
イン入れ替えしても同じCDIから二股になっているだ
けなので意味がありませんでした。
エンジン片肺になるよりも、始動できないでした。
エンジン片肺の要因は殆どがキャブ内の油面沈み
込みによるガソリン供給過多によるプラグ被りが
殆どで、二気筒キャブの左右揃えた油面調整が大事、
不揃いに伴う片肺を疑った方がよい様に思います。
稀にはCDIや電極破損もあるかも知れません
が、以外に電気系統の故障はすくない様です。
もし、プラグ火花が弱い場合は、エンジン始動に引く
スターター(リコイル)裏側についている発電機内の
マグネットホルダーを外して、ホルダー裏側の錆
を落とせば、強い電圧回復が起せます。

不動モービルから外した直後のチャンパー

 フロートチャンパーを外し上部側の写真


 
リードバルプ不良による症状と診断

 正直なところ気づく迄にキャブレターの購入交換脱着6〜7回、キャブレター内のニードルアッセンブリ交換やフロート交換、左右のパイロットスクリュウー交換、そして油面の高さ調整等々、キャブ設定各種ジェト内の清掃、それでも改善せずプラグを外して圧縮比チェック、左エンジンが通常7kgのところ6kg切る圧縮比だった為、エンジンシリンダーブロック迄外し左右ピストンリングを新品へ交換組み戻し、圧縮比は新車も同然に回復したものの、それでもエンジン片肺からは回復せず、エンジンが冷えた初動時に始動する時があるくらい、失火エンジン側のキャブについているパイロットスクリューを一番搾った位置から4/1回転づつ戻しても(開く)殆ど調整が利きません、キャブレターが万全でもエンジン片肺になる原因とは???

@ キャブレター整備し万全

A 片肺側のエンジンプラグが濡れっぱなし

B 冷えた二気筒エンジンを始動すると、たまに片肺解消され両方エンジン始動するが温まると再び片肺

C イグニションコイルの動作問題なし

D プラグコードの断線なし

E プラグキャップの抵抗(4KΩ前後)問題なし

F 例え両方のエンジンが始動しても、思う様に回転数が上がらない、息つきを起こす

G 勢いよくアクセルを開くと息つきを起こす、ゆっくりアクセルを開くとエンジン回転数はあがるが、回転の戻りが悪い、すんなりと下がらない

H 失火しているエンジンのわりには異常にガソリンが食う、高回転後エアークリナーを通してガソリンが匂ってくる

I 幾度プラグを外して見ても常に濡れっぱなし、失火エンジン側のキャプレターのパイロットスクリュウー調整が効かない

J インマニやエアークリナージョイントブーツの割や穴、及び二次空気の吸い込みなし、エンジン始動時にこれらに向かってパーツクリーナ散布すると、仮に穴やズレ等で吸気している制で、即座に回転数に影響がでるが、それもない

K キャブレターを外した際の左右エアークリナージョイントブーツ内にOILの吹き替えしで付着したベタベタ感が残る、通常空気の通り道で乾燥状態のはずだが、常に光沢がありピカピカ感がある状態、通常古くなるに連れ硬くなるエアークリナージョイントブーツのはずが、何故か弾力さえ維持してる、これらの症状はリードバルプ不良による2ストOILの吹き替えし現象による散布である。

上記症状が出ているとさすがに修理は迷宮入りとなってしまう、それでも何処かに原因はあるので、残る疑わしい箇所と謂えば、リードバルプか、エンジン腰下クランクケース内のクランクシャフト中程にあるオイルシールの皹や割れ、このどちらかに絞られます、仮にクランクケース内に原因があれば上記症状とは更に違った症状がでる。
私にはエンジン腰下を修理する自身がないので、万一リードバルプ交換しても改善しない場合は、このエンジン修理を断念せねばなりません、この車両で云えば最終修理である事を望むばかりです。

左右のインマニの中にリードバルプが収められています

 
 撤去後の写真ですピストン及びクランクが見えます

写真上の文字が逆さまです。

 
 撤去後のリードバルプとインマニ

 リードバルプ本体


黄色の枠内がリードバルプです

 
 リードバルプを真上から写した写真です、一見きちんと閉じている様ですが、目視で見て僅かでも隙間があれば、先ずもってエンジン片肺は確実です。

普段はキチンと閉じたまま(密着)で、僅かな隙間ですら様々な不具合を起こします。 

要するに4スト車のバルプに相当する部分となります、キチンと閉じていない場合、一次圧縮比がリードバルプの隙間からキャブ側へ逃げる(漏れる)為、プラグは常にガソリンで濡れたまま、エンジン始動が望め難い、時には始動する場合も御座いますが、エンジンが温まる直前くらいには再び失火(片肺)となります。 正直このリードバルプの不具合を見つけ出すまでに大変苦労しました。 
リードバルプの素材は薄い鉄板 品番3R5-13613-00 2,057円×4枚、他ガスケット左右 80L-13621-00 286円×2箇所
 上下に2面あって3分割され、片面の底にプラスネジ3か所で閉められ固定、反対側と合わせて6箇所ネジ固定、ネジを外す際はシッカリと押しながら、ゆっくり慎重に回し舐めない様に!! 押し手8:回し手2くらいの感じです。
焦って廻すと簡単に舐めて仕舞うので最新の注意を払って下さい。 油付着のある場所に付錆びついている事はありませんが、油が頑固に固まって固着し明らかな隙間やあるいは密着していない可能性は十分あります、目視では非常に解り難い部品です、また回す際に舐めやすくて大変滑り易いネジの為、手始めにパーツクリナーで脱脂してから作業して下さい。
一件真上から覗いて密着している様に見えても、エンジン始動した途端開きっぱなしがあり得ます、当然PZ車は左右ブーツ連結されている為、例えば右側エンジン失火であっても左側のリードバルプ不良も原因として考えられます。 
その為片肺エンジンであれば左右両方のリードバルプ交換は必須です。
 
新品リードバルプの購入

 
黄色の枠内へ装着固定、表・裏があるので注意

 
組みあがったら本体を下記の様に組み戻しする

 
リードバルプ内に向けてインマニを挿入する

 
 

 4000kmを越えたらピストンリングの交換
(標準圧縮比7k)

 エンジンの初期始動時に整備を加えリコイル操作にてエンジン始動したが、両手で引くリコイルは排気量に相応した重さがあります、確かに引き手にかかる重さに重圧感を感じますが、2気筒エンジンの場合左右エンジンの圧縮比が均等かどうか迄は、リコイルを引いただけでは解りません!!

やはり圧縮測定器を装着し計測のしてみない事には解りません。

早速圧縮計測器を使って測定すると右エンジンの圧縮比が5.5kに対し左エンジンは8kもあった、その為プラグ穴から2ストOILを数滴垂らし再度リコイルを数回引いて見た時の数値は、低かった右エンジンが5.5k→6.5kへ上昇、従って低圧縮比の原因として疑われるのは、ピストンリングの摩耗とエンジン腰下のOILシールの劣化が疑われた為、取り分け左右エンジンのピストンリング交換作業を行う事にしました。
ピストンリング自体高価では御座いませんが、エンジン上半分迄解体する手間暇、キチンと組み戻せるか?

邪魔な周辺パーツを片っ端から撤去しなければなりません!! 以下の写真を参照下さい。
 以下の@〜C迄をすべて撤去

 エンジンカバーが外れた状態

 
シリンダヘッドが外れた状態

 
左右のシリンダブロックをエンジンから撤去

 
エンジン腰下に残ったピストンとリング

 
左右の古いリングを外し新たなリングを装着

 
古いリングの撤去は簡単だが新品はバネが強く上手く溝に納まらない


必ずリングを嵌める開始位置に合わせ挿入

 
 
左右ピストンを同じ高さに合わせブロックと平行にする

 
挿入できたら新品ガスケットシリンダヘットを被せる

 
ピストンリングを決まった定位置から精確に嵌め込まないと、先ずもってシリンダブロックの挿入に引っかかって仕舞い挿入出来ません、益して新しいピストンリングを装着しているので、粗保々張力がある為隙間などありません。
リングを溝内に精確に収めたら、シリンダブロックを被せますが、その前に紙状で出来た新たなガスケットシリンダを挟むのですが、クランクケース上に被せるか? あるいはシリンダブロックの下に嵌め込ん落ちない様にテープで留めて置くか? 初めはクランクケース上に置きやすいのでそうやったのですが、気をつけていてもピストン下部が当たって切れて仕舞います、なので再度シリンダブロックの下部に張り付けて挿入を図りました。

挿入はハッキリ謂って超難関でした、外しはまだ楽な方でした。
極々きつくて手で押し込める様な状態ではありません。

先ず、シリンダブロックとピストンヘッドを精確に平行に保ちながら下降させなければいけません、上下あるピストンリングをしっかりと溝に落としながら嵌めこむ左右同時作業です、手でシリンダブロックを叩いたり押したくらいで下降しないので、プラスチックハンマーを使ってシリンダブロックとの間に木台を入れて木台を叩きながら、右、左と前後と公平平行に落とす様、気を使いながら叩く感じです、けっこう厳しい作業でやっとの思いで挿入できました。

まぁ〜圧縮比が下がってなければ滅多に行なわない交換作業です、逆に謂えば20年前のエンジン、前オーナーから症状が聞けるハズも無いので、殊更初めての体験だと嫌気を指しました。

しかし、見返りとして新車に近い圧縮比は見事に回復です。

シリンダブロックが左右装着できたならば、ガスケットシリンダヘットを左右に被せますが、裏・表 は穴位置が合わない為間違える事はありませんが左右の方向を間違ぬ様、外す際に事前写真を撮って置くと、組み戻し時に確認可能です。

問題なければシリンダヘッドを被せ、一気筒辺り8本のボルトで固定します。
ヤマハに確認したところ、この固定ボルトや固定ナットウにネジロック剤を塗るのですか? つまり振動脱着の恐れがあるんで!!

回答として、ネジロック剤は塗らないで下さい、またメーカーとして指定(ネジロック剤)している箇所ではありません。
っと謂う回答の為サービスマニアル記載の規定トルクで閉めてよいとの事でした。

組み戻し終り、キャブの再設置、マフラーの再設置等終え、いざ始動するのですが、リコイル引く両手が超重くて重くてもう嫌気さすくらい重たいリコイルでした、しかし事前に予測できたので、その対策として新規にセルモータ装着も同時作業で行っておりました。

 っと申す理由は通常セルを取り付ける場合一旦エンジンを降ろして設置しなければなりません、その作業も大変負担です、理由はエンジン真下に装着箇所がありマフラー側です、偶々シリンダブロック迄解体したら、セルモータ設置個所が容易に覗け、取り付け作業スペースができた為、う〜ん”取り付けるなら今しかないなぁっと感じた為でした。

新たに取り付けたセルモーターでの始動は天国でした、ピストンリングを交換すると新車に近い圧縮比となりますが、リコイル始動するとなれば、ピストンリングとシリンダブロックが馴染までは、暫く重たいのが続くのは当然かなぁと感じました。

左エンジン(失火側)圧縮比6.5kg/?

 
 
右エンジン圧縮比8kg/?

 
 重要 走行距離4,000kmを超えたら早めのピストンリング交換 5,000km超えるたら危険域(距離関係なく生産から20年以上の旧車も同様)

 
特にPZは馬力があるのでピストンヘッドの負担が著しい為、オーバーヒートやオイルポンプの何らかの故障がおこると、エンジン内部のクランクが真っ二つに折れるのを幾度も目にしています、あるいはクランクがもの見事に曲がります、こうなるとクランクが突き破る為エンジンケース本体に穴を空けたり、皹を入れたり、亀裂を入れたり、破壊して仕舞います、、ハッキリ言ってエンジン修理には多額がかかって仕舞いますので、廃車を考えなくては行けません。

上記現象は左右どちらのエンジンでも起こるのでなく、通常ドライブシーブ側のエンジンで起こります。

 原因と対策

 @ エンジン始動時から強制冷却ファンでシリンダーへ強風を吹き続けてますが、ファンはドライブシーブの反対側にある為、発電側のエンジンシリンダー側から流れる方向となっています、この為、どうしてもドライブシーブ側のエンジンが高熱を蓄積しやすくなります、シリンダーファンの隙間がゴミや誇り、ネズミの巣等で塞がっていても熱暴走の元となりますので、シリンダーカバーケースを外して要確認が必要です。

 
 
A
 万一オイルに水が混じったりしてホース内が凍ると、オイル供給が止まり数分でエンジン焼き付けを起こします。 燃料タンク内にも適量の2ストOILを入れて置くことでエンジン破損を防ぐことができます。

 B 走行距離4,000kmを超えるとピストンリングの外周摩耗が進んでいます、圧縮比の減少も徐々に進んでいます、またピストンリングとシリンダー側壁の当たり面隙間も進んでくると、ピストン本体が微妙に首振り状態に進化してくるので、高回転域での当たり面も抵抗が増し、加熱化がより進む制でオーバーヒートになりやすくなる、対策として4,000kmを目途にピストンリングを新品交換し最悪を避ける。

 C 劣化が進んだピストンリングは著しく張力減少します、進んだ分シリンダー側壁との隙間も増えます、また
燃料希薄によるピストンの抱きつきで、ピストン上面排気側の角が一部粉砕し、、ピストンリング上下ある内の上側のリングが真っ二つに折れ溝内に埋もれて残っていることも御座います、もちろん折れるとシリンダー側壁への損傷も著しく、クランク腰下への粉塵落下も起こりえます、その為、エンジン乗せ換えか、シリンダーブロックとピストン一式の交換か、傷ついたシリンダーブロックも含め左右を0.25mm大きくボーリングし、そのサイズに合わせたピストン一式に交換するか、エンジン焼き付きよりは抱きつきの方がまだ選択しは残っているかなぁ、、、です。

ピストンリングの品番
 8VO-11601-00 上下2個セット3,160円(エンジン1気筒) 左右の交換は倍額
ピストンベアリングの品番 83310-218A6 836円
ガスケットシリンダーヘッド 87F-11181-00 726円


 
セルモーターの増設

PZは全車両がセルモーター装着が出来る様、どの車両にもリコイルの真裏にある発電ローダーがフライホイール仕様(ホイール外周がギヤ付きローダ仕様)となって装備されている、その為セル取り付け所定の穴からモーター本体を挿入させ、2本のナットを固定すれば、セル本体の装着固定ができる、通常の取り付け方は、マフラー先端Yパイプの粗真下付近に装着されているが、超狭い空間の制でまったく手出しができない、仕方なく一旦エンジンを降ろして装着致し組み戻す作業工程となる為、大変手間暇のかかる作業工程となるのは確かです、もしセル一式を買え揃えても、設置依頼のみしたら工賃幾らでお願いできるでしょうか? 先ずもって数万円は取られそうな気が致しますね!!

しかし下記写真でも確認できる様に、既に左右のエンジンシリンダーブロックを撤去していた為、ボデイー内の底面に対し、しっかり作業スペースが開いていた制で、セルモーター装着が可能な環境下でした、それを見逃してはと強く感じたのと、、、ピストンリングを新品交換した場合、リコイル始動すると今迄より遥かに重い引きとなる事も予想され、当然ですが圧縮比がヘビー級ですから、これを思うと有り金叩いてでも装着は今がベストタイミングでした。

@ セルモーターを手に入れる

A モーターを動かすリレーを手に入れる

B セルとリレーを繋ぐ配線を手に入れる

C バッテリー固定の為のパーツを手に入れる

D PZの電気配線図を手に入れる

E リレー本体から赤白の線をレギュレターの赤白線へ接続、また黒線も同じく接続、他に細い赤線はヒューズホルダーが収納されており、レギュレターとメインスイッチ(セル始動Key)を結ぶ赤のプラス線がレギュレター下部のコネクタへ繋がっているのでそこを探し出し接続させる

F リレー本体から2本出ている赤の太い線の一つは、セルモーター本体の端子へ接続する、もう一つの赤い太い線はバッテリのプラス端子へ接続する、一方バッテリのマイナス端子へ黒の太い線を接続し、リコイルカバーを固定致すボルトへ友締め致しボデイーアースを行う、太い配線はエンジン底を通して行う

上記作業を間違いなく配線終えれば、メインKeyを廻し力強いエンジン始動が可能となりました。

リコイル始動はすっかり慣れ親しんでましたが、ともかく始動負担が超〜楽になりました。
 
セルモーターの装着箇所

 
リレー本体

 
レクチファイヤーの赤色はプラス線でKeyに繋がっている
白色と青色線はボルテージレギュラターに繋がっている

 
左側の赤太線はバッテリのプラス側へ接続
赤白色の線はKeyに繋がっている

 
僅かにYパイプの中程に見えるのがセルモーターで殆ど確認できません

 
アマゾンで購入した新品のメンテフリーバッテリ

 

次の掲載は、リードバルプの動作不良に伴なって起きていた右エンジン片肺が治るか?

 オフシーズンのモービル保管について

残った2ストOILタンクについて

殆どの場合シーズン走り終えた2ストOILはタンク内に残留のまま放置となっています、ワカサギ釣りで走行する距離から見てシーズン通して100Km〜200Km前後、と極めてすくない為、何シーズンも古いOILの使いまわしとなります、タンク内の下に幾年も残留蓄積された古いOILがヘドロ状にゴム状形となって、仕舞いにOILホースを塞いてしまいOILの流れを遮ってしまいます、こうなればエンジン焼きつきを起こし、一瞬にしてエンジンお釈迦様となります、もちろん車両を動かすには牽引以外引き出す事すら出来ません、シーズンを終えた古い2ストOILは最低でもOILタンクから汲み出し、毎年新たな2ストOILに交換して下さい、怠る事で重大な致命傷が起こります。

燃料について


シーズンが終わったら燃料を入れたまま放置しない、燃料を入れたま放置するとキャブレター内のガソリン劣化、腐敗が進みキャブの穴詰まりを助長させて仕舞います、走る予定のない時期にガソリンを入れて置くメリットなど殆どありません、むしろデメリットの方が大きく、次年の始動時エンジン始動できなくキャブオーバーホールなど幾らでも聞く話です。

結果としてガソリンを常に入れっぱなしにすれば、キャブオーバーホールと謂う皮肉な修理代に結びます。

オフシーズンのガソリン抜き忘れは何も良い等ありません、またモービルタンクは樹脂製で錆びる事はありませんが、残っていればガソリン腐敗は進みます、できるだけポンプで吸い上げて下さい、そしてガソリンタンクからホースで繋がるキャブ内の残りガソリンは最後までエンジン始動いたし空にして下さい、更に樹脂製タンクに残った僅かなガソリンが心配だと謂う方は、基本抜き様が無いのでそのまま放置するしかありませんが、 ビビたる数量なので次年度タンクへ新ガソリン供給した際に拡散されるので問題はありませんが、それでも心配な方はワコース社のフューエル1を投入すれば、キャブやエンジンクリーニングと水排除(除去)できる量なので、特に心配はいらないでしょう。

ともかく、乗りもしないオフシーズンに態々ガソリンを入れて置くこと事態、何のメリットも御座いません、特にキャブ内に残ったガソリンが悪さを引き起こす元で、避ける意味でもガソリンは是非抜き取って、自身の乗用車の補給に使用されて下さい。

燃料ホース内のエアー抜きについて

ガソリンタンクから吸いあっがったガソリンは燃料ホースを通じて、燃料ポンプへ送られます。 燃料ポンプへ流れて来たガソリンはキャブ内のフロート室へ燃料ホースを通じて供給され、常に満タンまで補充されてます、しかし燃料を最後まで燃やし切ることで燃料ホース内は置き換わって空気で満たされます、この状態で次シーズンを迎えた時、当然燃料ホース内のエアー抜きを行ないませんと、エンジン再スタートが出来ません、エアーを抜く方法として、2つの方法が御座います。

 @ プラグを外す⇒穴に向かってCRC556等の油類スプレーを十分噴射する⇒手でプライマリークラッチを数回廻す⇒キャブにガソリンが届くまでリコイルを引き続ける⇒ガソリンがキャブへ届いたら⇒半チョークを引く⇒メインスイッチを入れリコイル引く⇒ブスブスと音がしたら⇒半ハチョークを戻ず(始動が近く濃厚燃料の為)⇒再度リコイルを引いてエンジン始動する

 A @を行っても燃料ホースから空気が出て行かない場合は、燃料ポンプの3口ホースある内のエンジン側から来てるホースを外して、ホームセンで売られているデイスポ式注射器と燃料ポンプ側のエンジンホース部の間に装着し、予め注射器空気内に半分ぐらい空気を吸い込んで置いて、空気を押し混んで燃料ポンプ側へ圧送し、今度は一揆に吸引、圧送吸引を素早く繰り返すと、通常は簡単にホースから空気が追い出され、代わりにガソリンで満たされる。 こうすることでリコイルを引くことでエンジン始動ができる。

 B Aを用いても空気が抜けずガソリンも吸い上げない場合は、燃料ポンプ内のダイアフラムが経年劣化で下手っているので、燃料ポンプ本体の交換、次に燃料ホース内の空気を追い出してエンジン始動となる。

 ※ セル始動は、モーターですからガソリンを力づくで吸いあげる形となりますが、セル始動であっても燃料ホース内の空気は追い出さない限り間に空気は入ったままなので、その制でセル移動してから始動までの時間がかかるのは、既に燃料ポンプの殆どが下手って破損寸前か、劣化が著しいか、つまりガソリンを吸い込んで登って来ても沢山のエアーが中途に挟まったままの状態なので、Bの手法で空気を強制排除させる、空気を抜いても燃料が吸い上がらない場合、燃料ポンプ交換となります。


鉄スキー使用の方

地面にあたる側に黒色シャーシコートスプレーを塗布致し錆から守って保管して下さい、絶対に地面に接触させたままは厳禁、鉄全体が錆を増しながら進行させますので、雨に当てない、雨の跳ね返りも避ける、地面から幾分上げた位置に載せての保管は大事です。

プラスキー使用の方

バナーで炙りながらキズやエグレ等、舎監ベラなどを使って綺麗に撫でおろし作業をして下さい、最後にシリコンスプレーを吹きかけ組み直し保管して下さい。もちろんボルト類のグリスアップも忘れなく行ない、スキー内に水溜まりができる様なら、5mm程度の穴を貫通させ自然に流れ出る様、施して下さい。

アルミ部分について

アルミだから錆ないではなく、例えアルミでも腐食進行はいたします、CRC556だと乾燥揮発油類なのでオイルスプレー等を噴きつける事で腐食から守れます。

モービルの椅子について


基本オフシーズンとなったら、カビるので本体から撤去して数日天日干してから次年まで別途保管を推奨しています。

モービルのクローラ保管について

基本オフシーズンとなったら最後尾のホイルシャフトを軽く緩め、次にテンションを緩めた状態で張りから解放させる、ホイルを回転させ異音やガタがあるならば、その時点でベアリング交換です、態々冬が近づいてから寒い中作業するよりはましです。 面倒だと放置して乗車すれば何時か突如抜け落ちるのでその場で走れなくなります。 次に車体は浮かせクローラに重量のかからない様に保管する、最後尾バンパーを僅かに吊るし上げるか、馬の様なものを使って車両を浮かせる。
こうする事でクローラへのダメージ軽減が施せます。

クローラの整備について

シーズン初めの整備としてクローラ内側に沢山あるネル(鉄製の金属で噛む様に付着)表面をオイルスプレーやシリコンスプレー等で吹きかけ、表面摩擦抵抗をさげ滑らかな回転をさせる、例えば、ヤマハの136インチモデルだと48リンクなのでネルの数も48個×左右96個圧着されているので、すべてに吹きかけ、エンジン始動し車体クローラを宙に浮かし回転させながら吹きかける。 もろんすべてのホイール中央部のベアリングにも吹き付ける、更にドライブシャフトでギヤの反対側も潜り込んで噴霧する(ここにもベアリングが付着してる為)

アブソバーの整備について

トラック内のボディーと足回りフレームはアブソバーを返して保たれてます、アブソーバーショックのシルバー部は錆びつくので、切れずオイルスプレーやシリコンスプレーの散布が必要です、万一錆が発生したら、ピカール等で磨くか、あるいは番数ペーパーで擦って磨きさびない様に保持して下さい。

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