YAMAHA 完全不動車PZ480ccU型

今回も完全不動車のエンジン修理

超ロングトラック化へ改造(136⇒156インチ)の掲載


  

   

 購入前の不動車情報として 

 中古車体の見た目はとても綺麗な方です、特にシートは純正ではない物の既に張替済みで亀裂一つありません、年式のわりには車両全体の保管がよかった制か美観的によく見えました、

売主に何故廃車にと伺えば、詳細はまったく解らないが2気筒共にプラグから火花は飛ばず、買い上げ時当初からエンジン始動困難な状態であったとだけ報告受けました、引上げ後他は一切手を加えていないので詳細不明との伝言です。

 リコイルで引いた時のエンジン二次圧縮比、計測の結果左右共に「7.5k」(標準値7k)とまずまずの圧縮比を保っております、その制か兎に角リコイルを引くのが非常に重たいの一言です、逆に修理に入ってから始動出来るまで何度もリコイルを引かねばならずとても辛くなる、、と感じたくらいです。

修理するならば合わせてセルモーター増設もしないと容易ではない事も感じました、一方、スピードメーターを確認すると本当か嘘か解りませんが、下の写真に写っている通りで「944km」低走行距離です、「う〜ん年数から謂って本当かなぁ〜?」 でも、大抵は車両修理致すことで殆どが見えて来ます、先ずそれなりの圧縮比を保っている事、、、一度も手を加えていないエンジンはプライマリークラッチを抜く際簡単に抜けないと謂う事、、、過去エンジン修理していればそれなりの形跡痕が残っている事、、、等からメーター値が本物か嘘か見えて来る物です。

最後に「何故この車両が廃車」へ繋がったのかも、、、見えて来るものです。

 
  

 運搬から初期修理に至るまで

 っという訳で前回に続きこの車両も完全不動車のPZ480マウンテン です、自走不可の為運搬にはスノーモービル専用キャリアを軽トラへ積載いたし、電動無線ウインチで引上げながらの積載をいたし搬入しました、搬入後初期始動準備として50対1の混合油を作ってガソリンタンクへ投入、取り分けスターターを引いて見ると何度引こうが売主が謂う様に初爆せずです、その為エンジンからプラグを抜いて火花チェッカーをもちいてテストして見ると、報告があった様にまったく火花が見れません、、、

通常電気系修理は、@イグニションコイル、Aイグニションライン(線)、B腐食、C断線、Dコネクタ等の弛みやガタ等の接続不良、ECDI、Fピックアップ、Gステータコイルと追いかけますが、今までの修理経験上で謂えば、一番多かったのが、@〜Gの何れでもなくプラグキャップの抵抗値無限大です。

真っ先にプラグキャップを怪しいと疑いました、その理由として製造後の膨大な経過年数を重視(経年劣化)しているからです、ヤマハ純正プラグキャップが接続されていたのでおそらく一度たりとも交換していないと思ったからです。

早速テスターを使って抵抗値測定するとやはり「無限大でした、これじゃすべての電気がプラグキャップに食われ(消費され)初爆するはずもありません。

早速5kΩの新プラグキャップを手配し翌日配送され古いキャップから新プラグキャップへと交換、再度火花チェッカーにセットしてリコイルを引いて見ると、見事な稲妻へ回復「約3万ボルト」超の高電圧が得られプラグは完全復活しました、下の写真がNGKの新しいプラグキャップと交換した写真です、再度エンジンへセットし再びリコイルを引いて見ましたが、初爆はしませんでした。



NGK新品プラグキャップへ交換

 次に疑ったのがツインキャブレターです、エンジンからツインキャブを外し専用工具を用いてメインジェットとスロージェット迄撤去、写真で見る様な汚れがありワコーズのメタルクリームで綺麗に研磨し、スロージェットを抜いて脇穴から細い貫通棒を挿入して見ると、完全に詰まっており閉鎖されていた、清掃の結果塞がっていた脇穴はすべて貫通させ、燃料フロートの高さ調整を経て組み上げました、ツインキャブを再設置する前に古い燃料ホースも交換いたし薄グリーン色の燃料ホースへ交換してからツインキャブを取付しました。

合わせて3回目のエンジン始動です、リコイルを引くと薄グリーン色の透明燃料ホースにはしっかりとガソリンが廻っている事が目視できますがこれでも「初爆」はせずです。

 ※ ツインキャブレターの修理についての詳細は同型PZ480ccで以前紹介したページをリンクさせて頂きますのでご参照下さい。

  

  見受けられた症状として、燃料ホース内にやたらとエアー混入があるので、燃料ポンプ内のダイヤフラムの経たりも疑って見ました、早速ヤフーオクで売られているPZ480、2型専用のダイヤフラムセットをオーダー致しました、到着迄4日程かかって北海道から到着、翌日早速燃料ポンプを外し新旧交換作業を行って見ました。

  

  

  以上で電気系問題なし燃料循環系問題なし、この状態で4回目のエンジン始動の為リコイルを引いて見ましたが、これでもまだ「初爆」致しません。

そこでエンジンから左右プラグを抜いて目視すると、左右どちらのプラグもガソリンで濡れている状態でした、綺麗に拭き取って乾燥させて再設置後に再びリコイルを引いて見ましたが初爆なしは変わりませんでした。

残る疑わしい箇所と謂えば気は進みませんが、エンジン腰下内の一次圧縮抜けによる始動不良疑いが濃厚となりました。

 PZ480ccマウンテンの最終製造が1997と1998年なので有に25年経過、しかも長期に渡ってエンジン始動がないとなれば、オイルシール硬化は疑わしく一次圧縮抜けを疑う以外ありません、他に左右リードバルプが開きっぱなしの疑いも残ってますが、その場合2気筒中どちらも開きっぱなしはないのでどちらかのエンジン始動するはずなので、まずOILシール内のリップ硬化による隙から圧漏れと見ました。

 不動エンジンの原因はエンジン内部クランクシャフト左右に収まっている「オイルシール」の摩耗硬化で間違いないと判断しました。

ただしこのオイルシール交換するには車体からエンジンを降ろし、更に降ろしたエンジン上下を分離させた状態にしないと交換が出来ない大変面倒な作業です。

他社メーカーも含め走行距離にして2500km〜5000kmでダメになる場合と製造後概ね15年以上の中古スノーモービルと2パターン御座います

おそらく今回は走行距離に関係なく、25年越えでしたので経年劣化による一次圧縮抜けが原因で不動車となり廃車へ至ったと予想されます


一般的にヤマハ中古スノーモービルを購入された場合、生産終了から追いかけて25年越えの中古スノーモービルは大変多く、新しい車種でもVK540の2スト車か、VK10004スト車が販売されてますが、これも2023年現在新たな生産は終了となり現行残っているモデル販売のみで完全撤退となった様です。

それだけに、幻の2スト車ブームはよけい加速することは間違い御座いません、優れた瞬発力痺れる様な加速を味わえるのは軽量2ストエンジン車の魅力、、、、

しかし2ストエンジン車を長く運用するにあたって大変重要なポイントを知る必要が御座います。

 それは、プラグ直下で計る事のできる二次圧縮比と、※計ることのできない一次圧縮比、どちらもエンジン始動に直結(不可欠)、もちろんどちらか一方が衰えればエンジン不調は免れません、しかも一次圧縮を確認する手段が少ない事です。

もちろんプロの修理業者なら経験から謂っても製造年月日から逆算して真っ先に疑うでしょう!!    でも素人では殆ど判別ができません!!

素人の場合、キャブレター内の詰りとばかり勘違いし、治る宛てのない修理地獄へと向う羽目になります。

 原因はキャブの故障ではないので、いくら隅々までキャブ内を交換綺麗に清掃してもまったく治る見込みはありません。

 ”原因は一次圧縮抜け”

一次圧縮抜けの原因は、エンジンクランクシャフト左右にあるオイルシールの中央部リップ内径から圧がスカスカと抜け出してしまう現象です、幾らエンジン腰上の二次圧縮比が正常であっても、一次圧縮が空か空かでは気密は保てず、圧縮が産まれません、従って連動する燃料ポンプの吸引力も激減するので、結果燃料ホース内に沢山のエアー混入する訳です、中々エンジンがかからないと聞きますが、満々とガソリンが汲み上がってこないからです。

この様にエンジン不具合が出ているんですが、燃料ポンプの負圧力が落ちている制にする、あるいは2気筒、3気筒エンジンであれば、所謂片肺エンジン状態ともなる、最終的に始動できなくなるのが一次圧縮抜けの特徴です。

一次圧縮抜けの症状で特にキャブレターの不具合と大変よく似ているので勘違いしやすいです。

以下の写真を交換前の車両から降ろしたエンジンですじっくりご覧下さい。

  

  

  上記写真を参照願います、赤丸内の黒色のオイルシール中央部にエンジンクランクシャフトが外部へ飛出しおり、クランクシャフト周囲を黒色のオイルシールが完全密閉する形で正常な内圧を保持しております、しかし始動と共に常に中央部のクランクシャフトが高低回転しますので、走行距離に応じてあるいは高回転させるので高熱と氷点下を繰り返します、特に古い車両の場合シーズンオフ中(乗らない期間)に硬化が進みます、弾力性能を失う事で摩耗も進む訳です、つまり結果内圧維持が出来なくなったオイルシールは上記写真の中央部のリップを返してエンジン外部へ抜け出す現象です。

当然ですが山で使用したスノーモービルと湖で使用するモービルでは負荷のかかり方に大差が御座います、ただし山で乗るスノーモービルライダーの方はメカニックに明るい人が多く、早期修理交換する方が多い反面、ワカサギ釣りで乗車するライダーは走ればよい程度の考え方の為、取り合えずエンジンさえかかればよい、っとこの様にメカに弱い方が多く見受けられます。

何処からの不具合であるか、不明のまま乗り続ける、最終的にダメになれば再度安いスノーモービルを購入しすれば済むとお思いですが、

 この症状は例え買え代えた中古モービルでも同様に襲われるのです!!

ご理解できたと思いますが購入されたスノーモービルが10年以内の車両、そして低走行距離のスノーモービルを購入しなければならないと謂う事です。

再度購入するスノーモービルが年代物でしたら、その物の寿命がすぐ底へ来ているか、既に廃車寸前と謂う事です。

修理しなけばぜいぜい2年〜3年もすればまた同じ様な悩みに振り回されエンジン不調の繰り返しです。


 年代物のスノーモービルや一定以上走行した車両は、一旦は車両からエンジンを降ろし、更にエンジン上下を割ってご紹介しているオイルシール交換が一番の近道です。

補足: 仮にエンジンクランクケースの外側から脱着ができれば劇的に作業は楽なのですが、残念ながらクランクケース内の縦溝にしっかりと挟まっている為必ず上下のクランクケースを割らなければ交換できない構造なのです。

下記写真は今回PZ480ccから取り外した古いOILシールです。

 

  

 弾力がある間は外部と遮断され密閉力を維持します、走行距離が進むと摩耗も進み空か空かとなるので内圧は常に外へ漏れたままとなります、反面ゴム製品ですからエンジンが暖まる事で弾力が若干ながら回復し、それが繰り返されます、そこへ高温と停車時は氷点下も加わります、やがてシーズンオフ中はエンジン始動なしの間高低温もまったくありません、すっかり硬化が進みリップはすっかり弾力を失い、翌シーズンになるとエンジン始動するのに大変苦労する運びとなるのです。

写真上左の赤色やじるし部がシーズンオフの乗らない間に「特に硬化進行」します、黄色いやじるし部が摩耗します、もちろんOILシールも消耗品です、ただし入れ替えが簡単じゃないのが大きな悩みです。

 
一次圧縮抜けの典型的な症状

@ 初期の頃は、最高速度が何時もより届かなくなる、力と云うか上り坂などで特に粘りを感じ難くなる、特徴的なのはアクセルを開いた後エンジン回転がすんなりと落ち難くダラダラとゆっくり下がってくる(回転メータのある車両)

A 中期の頃は、シーズンに入り数十か月ぶりにエンジン始動しようとリコイルを引くと燃料ホースにやたらとエアーが入り、中々燃料が廻ってこない、燃料が廻ってきても途中途中にエアーも混入しており、これが押しきれません(抜けきれません)、所謂この頃の年代は負圧式燃料ポンプを採用、燃料を引き込む動力源としてエンジン腰下で産まれる負圧力(吸引力)を利用しております、その負圧力がOILシールの劣化によって激落ちしている制でエアー混入やエアーを押し出し切れなくなるのです。
ただし一度でもエンジンがかかればその日は調子よくエンジンがかかりますが、また数日間も乗らない日が続くと再度エンジンがかからない、この症状が出ていたらもうそこそこ進んでいる悪症状です。

B 後期の頃は、エンジンの片方のみが始動しなくなる(片肺現象)が起こります、悪い方のエンジンプラグが異常に濡れて被って仕舞います、いくらプラグ交換してもまったく治ることもなく同じで、しまいにプラグ1ダース買え置きするオーナーもいる程です。

C 最後は今回の私が手に入れたPZ480ccの様にガスをキャブクリナーへ直接生注入しても初爆すらしなくなるのです。


 部品は左右のオイルシールプライマリークラッチを抜く特殊工具合わせて脱着いたす膨大な工具準備が必要で、部品代だけ見れば数千円です、しかし修理するには作業料金が多額を要します。

 スノーモービルを専門に扱う修理屋さんは大変少ないです、主にバイク屋さんが併用したり、あるいはマリンスポーツ屋さんが併用したりと特殊類ですね、

修理の参考ですが、2023年3月現在で私の住むエリアで時間工賃を伺って見たところ、時間工賃は最低で税込み6,600円でした。

作業工程が複雑な事から一日では終わりません、PZ480ccの場合私も何度かこの作業をしてます、予めプライマリークラッチを外すのにシチハックします、過去一度も短時間で外れた試しがありません、先ずもって何日で外せるかがカギで最初の難関です、外せて初めて交換部品を前もって取り寄せて置いて、バラして組みあがる迄で2日はかかっています。

これを低額で行って頂ける業者にお願いした場合で計算しますと

 6,600円×16時間(1日8時間)=105,600円プラス部品代の請求となりますが、プライマリークラッチを抜去料金請求も加算されると思います

特にワカサギ釣りで使用される皆さまは、圧倒的に中古スノーモービル愛用者が多く相応な年数経過のモービルが殆どです、可能ならば頑張ってでも購入後オイルシール交換も済ませて置けば、不具合で悩む事はほぼ無くなるでしょう、それより向こう数十年安心して乗車できるでしょう。

中々気づかないライダーも多く、毎年の様にだらだらと関係ない場所の修理をしますから、廃車する迄結果的に多額を投じる羽目になります。

 
 ポイントとして、購入時にエンジン始動するからよいではなく、エンジン二次圧縮がしっかりとあっても、数年後にエンジン不調が起る事は間違い御座いません。

 その理由として、今回取り上げていますエンジンクランク内のOILシール交換を行った車両ではないからです。

 メーカーによって向える時期や距離の差は御座いますが、すべての2サイクルエンジンは、新車で3500km〜5000kmの範囲で一次圧縮抜けを向えてしまいます、また中古車(旧車)の場合は、走行距離に一切関係なく製造15年以降であればこちらもおなじです。

 特にカナダ製スキ-ドゥーの特に旧車は一次圧縮抜けが2000km〜3000kmと寿命が早いと聞きますが、距離に関係なく年数劣化も影響を受けるので、両面から見る必要が御座います。
ヤマハ発動機は4000〜5000km前後ですが、年数経過した中古スノーモービルは走行距離と関係ありません。

ポラリスは激しくエンジン高回転をさせる様な乗り方をしなければ、5000km(通常の乗り方)くらいまで持つ車両もある様です、ただし、上記走行距離は常に始動させ走行している場合の域です。

 殆どのスノーモービルは約6〜10ヶ月前後停車したままなので、その間にオイルシール内のリップ硬化現象が進みます、硬化したリップは保護弾力を失います、次回走行開始直後にクランクシャフトとオイルシールのリップ間で隙が進みます、それが圧力低下を生みエンジン不調へ直結するのです。

2サイクルエンジン車では避ける事のできない部分なので、一早く察知されて交換すか、残念ながら修理費が追いつかない場合は廃車の道を選択されるかその様な車両が混じって転売されているとお考え下さい。

今回私が購入した不動PZ480ccは当初プラグから火花が飛ばないとの事でエンジン始動不良で後車の廃車車両です、それでも購入価格は160,000円です。

話は反れますが4スト車量の場合、エンジン腰下にはOILが満たされている制で一次圧縮抜けは起こり難くその分長持ちします、反面4スト車は車両重量が「ともかく重た過ぎるんです」、スノーモービルは100%スタックがつきものですから、いざスタックした時重たいスノーモービル程脱出が難しくうんざりしますし、ですから4サイクルエンジンのスノーモービルが毛嫌いされるのです。

その様な理由で軽量車の2サイクルスノーモービルを選んでいると謂う事に尽きると思います。

ともあれ4スト車であっても何れはOILがクランクケースから滲んで来るのは同じですが2スト車両は2500〜5000Kmと比較すれば寿命は短命です。

交換作業は大変ですが、高価な部品交換では御座いません、私のページをじっくりお読み頂いて自身で交換さえできれば数千円で治せるのですが、、、、

 ご相談したい場合の連絡先 メール をリンクします、メールを送る際は相談内容、最後にご氏名 住所 連絡先も記載された上で送信されて下さい記載のない場合は返信できかねます。

 ここからはエンジンを車両から降ろす作業

@ キャブレターへ接続されているアクセル・OIL・チョークの各ワイヤーケーブルを外す。

A エアークリナーBOXを固定している車両正面から見てハンドル右側下の2本のボルトを外すと、クリーナーBOXを前後へ若干移動ができる様する。

B エアークリナー側の左右ブーツ固定バンドを外し左右のブーツを撤去する。

C ツインキャブレターをエンジンインナーブーツからゆっくり引き離す、左右2つの燃料ホースを抜去するが、同時にガソリンが出るので私は箸先を10cm程折って先端をガソリンホース内へ押し込んで起きます、これでガソリン漏れを止めて起きます。

  

  D ツインキャブを外す事で一気にエンジン周辺に空きスペース生れ次の作業に移り易くなったところで、プライマリークラッチの撤去をしますが、その前にドライブベルトを外してから撤去作業します、プライマリークラッチ中央部の22mmボルトを、12.7mm角の6角ロングレンチをもちいてエアーインパクトで廻すと外せます、次に専用特殊工具を22mmボルト穴へ再挿入し、エアーインパクトを使って押し込むと抜去できるのですが、新車購入依頼一度も外してない車両の場合、相当強力に締まっているため簡単には外れないと想像します。

 固すぎて廻らない場合、PZ車両横向きに転倒させプライマリークラッチ側を上向きにさせます、クラッチ中央部の22mm穴にワコーズのラスペネを噴霧、それから一度インパクトで廻し抜ければOKですが、それでも抜けない場合再度ラスペネを噴霧し、そのまま一昼夜放置した後再チャレンジと謂う様に、繰り返す内にガッツンと抜けます、強力に固着しているのでこの作業が前半の難関と謂ってもよい作業となります。

E プライマリークラッチが外せたら、序にセカンダリークラッチ(別名ドライブクラッチとも謂う)も同22mmボルトなのでエアーインパクトで廻し外す。

F ここまで進めるとOILポンプが露わになるので、OILポンプを固定している12mmサイズ4箇所のボルトを外します、外した序にOILポンプを開いて古いコペコペになったグリスも抜き取って綺麗に清掃いたし、代わりにシリコングリスを満遍なくギヤ周辺に塗ってから組み戻して下さい、またOILホースを外す際もガソリンホースと同様、OILが出て来るので箸先を10cm程折って先端をホース内へ挿し込んで流出を止めて作業します。

G OILポンプを外したら、次はエンジンのリコイル側撤去となるのですが、チャンパー(マフラー)上部のエアーファンカバーから先に外します、外れたらチャンパーを固定している数か所のスプリングを専用工具を使って外します、専用工具でスプリング撤去しないと手を切ったりするので注意です。

H ここまで外したら、エンジン底部にあるエンジンマウントのボルトを外します、向ってエンジン前側の底部に2か所のボルト、後ろ側に1か所のボルトを緩めるとエンジン本体は外せますが、
リコイルが付いたままではエンジン移動が出来ない為、、エンジンマウント底部に角材を入れて軽く持ち上げて、更にエンジン本体を30度くらい廻すとリコイルを固定している外周のボルトが露わになるので外します。

I 最後にエンジン本体と繋がっているケーブルを抜きますが、外す際コネクタのロック形状をよく見て、下向きで外せるのか? 上向きにするのか、確認してからマイナスドライバー先端を挿入すると意図も簡単に外せます、間違っていると頑なに抜けないので注意が必要です。

J 以上でエンジンを車両から降ろせます、降ろす際私は特にチェーンブロック等は使用せずとも、普通に手でエンジンを抱えて外しているのでだいたいの人は持てる重さと認識して下さい。

以上ここ迄がエンジン降ろしの前半です。

  ここからエンジンの上下分離作業

@ 降ろしたエンジン本体を一旦作業台(70cm×70cm高さ70Cm)に載せました、エンジンケースは鋳物?かと当初思ったのですが、この年代で既にアルミ合金製でしょうか、ともかく軽量重視の様に伺えます、お陰で両手で救い上げれた訳でが、、、

  

 

 A 上記写真の様に一旦作業台に載せました、最初にファンベルトを外しますが、しかし何時交換したか前オーナーに聞けません、純正の三菱ベルトが着いていたので私はニッパを使って切断いたし、組み戻す際に新品ベルトを近くの自動車部品商で800円前後のメーカーBANDO社製RAF2265ベルトを装着しました。
次に下記写真左の1〜3番までのボルトを外し、最後に赤丸で印したボルトも外します、この赤丸ボルトは場所場所によって長さが違うので注意が必要です。

 

 
 B リコイルを撤去すると以下の写真の様にフライホイールが露わとなります、フライホイール外し専用工具を用いて外します、フライホールのボルト固定位置はリコイルが固定されていたボルト穴を利用します、外す際は強力に固着している事があり難を極める事があります、ただし一度でも修理等で以前に外していれば意図も簡単に外れるので、この場所に修理痕跡が残るのでマメに修理して来たかどうか見えて来ます。

 

 C フライホイール外した奥には、クランクシャフトを取り囲む様にステータコイルが2本のプラスネジで固定されています、このネジサイズは+3です、絶対緩む事が無い様永久ネジロック剤が塗られているので容易には廻せません、焦って作業しますと先ずもってネジ山を舐めてしまい、二度と外せなくさせる恐れもあるので慎重に作業を進めます、私はこのプラスネジに向って一旦ヒートガンを用いて熱します(周辺の電線を溶かさない様に!!)、こう云う作業が入るので時期的に寒いシーズン(冬)を避けてまして、4月移行に入って多少暖かくなってからの方がよくなる訳です。

  

D  ステータコイルを組み戻す際、取付位置があるので先にマジックで印を付けます、怠るとフライホイールとピックアップが狂う為電気を送るサイクルがズレて仕舞うので注意します。

準備ができたらインパクトドライバーをプラスネジに向ってズレない様にしっかり押し当てて、工具ハンマーで一撃(ガツン)と叩くと強制的にネジは廻り外れます。

  

 E 写真左下の黄色いやじるしのケーブルをクランクケースから抜去しますが、シリコンスプレーを吹きかけて行うと出し入れがスムースです、写真右下の赤丸がリコイル側のオイルシールです、何となく見た感じキラキラとてかり感じますが2ストOILが霧状になって吹き出た後です、こうなると2スサイクルエンジンとしては寿命を終えており、一次圧縮が漏れOILシールを交換しない限り廃車するしか選択の余地が御座いません、OILシールは軽く圧入されている程度で、シャフトサイズに合ったロングソケットを用いて押し当てながら軽〜くプラスチックハンマーで叩き入れればすんなり収まります。

中心部のリップはすっかり硬化し摩耗しているのでクランクケースを分離させたらするっと手で抜け落ちる程度でした

  

 F 次はプライマリークラッチ側のOILポンプを廻すギヤがある状態ではクランクケース上下分離させてもOILシールを抜くことが出来ません、先にギヤを撤去します、このギヤはクランクシャフトにガッツリと圧入されている為素手で抜くことは不可能です、そこで3本爪のベアリング抜き器を使ってゆっくりと廻しながら負荷をかけながら撤去しますが、しっかりと3本爪を奥まで引っ掛ける事が大切です、中途に抜こうとするとギヤの一部を折ったりします、また、ギヤとクランクシャフトの堺に向けてワコーズのラスペネを噴霧させた方が内部浸潤するので撤去がスムースでした。

  

 G ギヤが外れたら、エンジンを逆さまにして作業台に起きます、何故逆さまと申せばこのPZ480ccの二次圧縮比は7.5kgと重く正常なのは予め解っているので、あえてシリンダーヘッドから腰下に向かってバラして来ると、組み戻す際にシリンダーガスケットの交換やクランクケースガスケットの剥離交換、ピストンサークリップ交換やピストンベアリングへのグリスアップ等、面倒な作業が盛り沢山着いて廻るので、エンジンの底からケースを開けてOILシール交換致します、その方がOILシールへ到達するまで抜群に早くなるからです、それであえてエンジンの底から作業を進めます。

下記写真の赤丸で囲ったボルト合計10本を抜きます、すべてネジロックされているので外す際「カキン」音がします、戻す際も必ずネジロック剤の塗布は忘れずに!!

忘れますと後にエンジン始動後の強振動で緩むどころか、抜け落ちるので忘れないで下さい、って云うかエンジン廻りに付いているすべてのボルトやネジが対象です。

  

 H 赤く四角で囲った箇所のボルトもケース上下を繋ぎ固定しているので予め外します。

 

 I エンジン底蓋を開けた写真です、ご覧の様に右からベアリング2個、コンロット、クランク、ベアリング1個そして仕切りと順に左右の部屋に分離され、両外側にはそれぞれにOILシールがケースの溝に挟まった形となって固定されてます、その為クランクケースを片手で押さえながら片方の手でクランクシャフトを軽く持上げると、意図も簡単にするっとOILシールを抜き取ることができます、新品に交換する際はロングソケットを用いて軽くプラスチックハンマーで叩けば圧入出来ます。

今回は経年劣化で著しく硬化が進んでおりました、シール中央部のリップが「すっかり空か 空か」でした、気密どころか密閉機能はまったくありませんでした、これが2ストエンジンを短命にさせる最大の原因です、しかしこのOILシールさえ交換するれば再度見事なエンジンとして回復いたします、もちろん2次圧縮も正常が前提です。

 

 
 J 補足として書いて置きます、OILシールをクランクシャフトから抜いた瞬間、クランクケース内すべてのベアリング5個が勝手に廻って(固定位置からズレる)しまいます、実はベアリングすべてが定まった止位置に固定され、組み戻す際知らずしてケース上下を被せボルト締めして仕舞うとケースに亀裂を入れて仕舞うので要注意です。

この箇所のベアリング5個は凸状のボッチが付いており、ケース側にも受ける凹穴5箇所があります、すべて合わせた上でボルトにネジロック剤を塗って規定トルク締めします。

 クランクケースの収め方は以前修理した同型PZ480ccの中で説明しているのでリンクを張って置きます是非参照下さい。

ここからの組み戻し作業は逆の手順となるので省略させて頂きます。

組み戻してから始動テストすると、初めの数回はプライマリーシーブ側のエンジンが片肺状態でしたが、再始動を繰り返す内に片肺が解除されました、ガソリンポンプ負圧力が復帰しているので、毎回一発始動であり、始動後のスローが超安定します、購入し搬入した直後は初爆すらしなかったスノーモービルですが、OILシールの交換によって見違える程快調なエンジンへと生れ変りました、交換作業は大変でしたが、実施した成果が出て満足です。

 回復したPZ480ccエンジン始動動画 (近く掲載予定)

 ここからは156インチへのロングトラック化

 過去も含めてPZ480CCを156インチへロング化した事がありません、って云うか履き替える156インチのクローラ(キャタピラ)を手に入れ、更にアンダーフレーム後部へ長くなった分も含めた延長フレームも自作せねばなりません、先ずは現行装着されている136インチクローラを車両から撤去するとことから作業開始です。

写真下の1〜4番までのボルトを外します、すべて外すと車両が下部へ落ちる形となりますがドライブスポロケットやクローラは装着されたままなので地面までは落ちません。

 

 22mmロングソケットを用いてエアーインパクトレンチでセカンダリークラッチを外します。

次に作業スペースが産れ下側に写真の様なスピートや距離を計測致すワーヤーケーブル線と繋がっている丸いケースが露わに見えます、この1から3迄の3か所のボルトを外すとワイヤーケーブル事そっくり外せます、外したケーブルは邪魔なので空きスペースに括りつけて置きます、写真下右の様になります、その後ケースをすべて撤去するとスポケットシャフト先端についたベアリングが露わとなります、このベアリングは簡単に抜けます、後に組み立てる時は大変負荷の激しくかかるベアリングなので、新品ベアリング 品番93306−00420(1474円です)へ交換して組み戻しました。
  

  

 次にミンションギヤケースを開けますが開けるとOILが垂れてくるので、先にOIL受けを準備してからケース蓋を開けます、よく覚えてませんが8本位のボルトで蓋固定されています、スポロケットシャフトを抜く時は、ギヤ本体を止めているボルト4本は抜く必要はないですが、長さ156インチ、ラグ2インチを装着する時はミッションケースも撤去しないと挿入出来ませんでした。

先ず下記いくつかの写真から参照願います、既にドリブンギヤは撤去済みですが、蓋を開ける前の準備として、開放式ベアリングの真裏にあるオイルシール93102-25081 418円が装着されているので、そのまま再使用の場合OIL漏れを起こす可能性があるので、ミッションギヤケースを一旦外し、裏側からオイルシールを撤去して新品オイルシールと交換し、内側ケースと外側ケースの合わせ面のガスケット86F-47592-00 1540円も事前購入して準備しました。

下記左はギヤー中央部に固定されている押さえのボルトやカラーを外した写真です。

上部ギヤは一旦割ピンを外してから26ミリソケットレンチを装着しエアーインパクトで外しました。

写真右は上下ギヤ交換後の写真ですが、誤ったギヤを挿入すると標準チェーンがきつくなるか、緩すぎる等で装着出来なくなります。

  

 標準136インチクローラから改造156インチ、ラグ2インチクローラへはき替えた場合、標準の8Tスポロケットでは車体の回転部壁に当たってしまう為、7丁スポロケットへサイズダウンして装着しました、その影響で最高スピート到達迄、明らかにライムラグが発生する為、それを解消する為に上下のギヤ変更を行う必要がでました。

標準上部ギヤ 17T⇒16Tへ小さくします。 しかしこのギヤは既に販売終了88F-17682-00となっておりヤマハ発動機から購入する事が出来ません、
その為USAヤマハから送料込み75ドルで購入、注文後一ヶ月くらいかかって届きました。

標準下部ギヤ 33T⇒35Tへ大きくします。 こちらのギヤはヤマハ発動機から購入可能88F47587-20 8250円です。

  

 既にシーズンOFFで試運転が出来ない為結果は解りませんが、この仕様でスピードとトルクは解消される様です。

改造される方によっては、スポロケット回転部の干渉面(当たり面)を叩き出すか切り抜いて再加工して塞ぎ、標準8Tスポロケットをそのまま装着する方法もある様です。

 

 PZ480ccへ、「ラグ2インチキャタ」を装着する場合スポロケットの回転スペースがまったく無く、車体に当たって干渉します。

私は外径の小さい7丁スポロケットへ交換しました、作業前は外径を小さくする事でギリギリ装着できると思っておりましたが、実際2インチラグ挿入して見ると車体干渉が依然出てしまいギリギリ廻せる程度でした、ここでどう対処するか散々苦労したのですが、考えたあげぐすべてのラグ高をサンダーで削り、現行2インチ⇒1.8インチ前後へ削り落としました。

とにかく7Tスポロケットへ落としても回転部のスペース域はギリギリで廻せる程度のスペースは出ますが、スポロケットをクローラ内の定位置へ押し込む事が不可能だった制で、ともかく挿入に苦労しました。

7丁スポロケット 中古価格20,000円

私の行った方法だと、2インチラグは干渉するので1.8インチ程度へ削ることで装着可です、それと7丁スポロケットへの交換やギヤ比変更も行う為、新たなギヤを2個購入とクローラ以外にも購入費用がかかってしまいます、

一方安価に仕上げる方法として、当たり面(干渉部)を切り抜いて再加工する方法も御座います、この場合ハンドルステアリングの下部固定位置と切り抜く場所が近接するので後の強度等どう処理するか? ですね。

ハンドルへの荷重もそれなりに荷重がかかりますから、

それとラグを高くする事で、それなりに雪原を蹴り上げ突進力向上へと格段に計れますが、シーズン当初の新雪と後半移行は多少解けた軽度の圧雪と、雪原状況変化が伴ないます。

問題は新雪豊富な時ほど(シーズン当初)雪が柔く締まりのない雪質に当たるといざ蹴り上げ切れなくなる場合に達し、新雪深々へと掘り下げて大スタックして仕舞います、そうですね車体の半分近く埋没することもあり得ます、この場合のスタックはそれも意識せず内に瞬時に起こしてしまいます、従ってラグ高があるトラック程スタックさせるとその引き出しが容易でなく、その様な条件下から見れば、PZ480の場合ラグ高は1.5インチ以上もあれば十分かなぁ〜  

ただクローラ長は136インチより156インチの方が劇的に走破力を増すことは間違い御座いません。

車両軽重量クローラ長さバランス如何なので、その点を重視されるとよいのではないでしょうか?

そう云う点で突き詰めますと、ヤマハ発動機のスノーモービルではこのPZ480が最も軽量な樹脂とアルミ合金車体であり、64馬力の優れたエンジンと他のモデルを圧倒しております。

  

 下記写真を見ると7丁スポロケのシャフトと8丁スポロケのシャフト長が違う事に気づかされました、このままだとPZの車体へ長さ足らずで装着出来ない為、PZに付いていた8丁スポロケを抜いて、また7丁スポロケも抜いて置き、プレス機を使ってPZのシャフトへ7丁スポロケを移植させます。
 

 
 新たに装着致すクローラです、長さは156インチ、ラグ(爪の高さ)は2インチ、中古価格45,000円

1インチ=2.54cm 2インチ=5.08cmとなります、

 

 自作延長プレートの加工には、アマゾンから厚み10mm、幅76mm、長さ565mmの長さ幅に加工済みのものを購入しました。

新たな延長プレートの長さ計算は、既存の延長プレート136インチで装着されていたプレートから割り出して算出します、クローラが20インチ長くなるので20インチの半分10インチ長い延長プレートを自作する必要が御座います、既存のプレート長が303mmに対し、10インチ長くした延長プレートが求められます、10インチ×2.54cm=254mmとなるので、制作致すプレート長は303mm+254mm 長さ557mmで仕上げました。

写真下左は加工前の延長プレートのイメージです、写真下右は加工中の写真です、ご覧の様に既存の延長プレートを重ね合わせて穴開け加工を致しました。

  

 説明するまでもないですが、ともかく超ロングと云うイメージです、この長さでも楽々クローラを廻せるのですから、僅か480ccエンジンの馬力には驚きと同時に惚れ惚れ致します。
通常モデルですと他社では600ccくらいは欲しいところでしょうか、、、

  

 長さ156インチのラグ2インチですと装着がかなり大変難を極めます、正直途中でどうやって嵌め込んだらよいか3日間程度作業中断いたし迷いました、ともかくスポロケ回転スペースがないんです、車体にラグが接触して廻せないのです、結局対処としてすべてのラグを電気サンダーを用いて研磨いたし約48mm(約1.85インチ程度の高さにまで削り下げました。

 それでスペースは若干産まれましたがクローラ内部の突起を乗り越えられなければ定位置へ収まりません、その作業がどうやっても出来ず今回一番悩みの箇所でした、今思い起こして見ればちょっとした装着のコツさえ捕まればよかったのですが、通常のクローラ入れ替え程度でしたらちょい長めのバールを駆使すればどうにかなったのですが、今回ばかりはその様な小道具では太刀打ち出来ませんでした。

 先ずはスポロケット装着が優先ですので結局装着には人が入って作業できるスペースが不可欠でして、クローラ交換作業する場合は毎回ボンネット部はチェーンブロックで吊り上げ致し、最後尾もホイストジャッキを用いて吊り上げ致します。

 手始めに156のクローラをモービル下部の定位置に置きます、次に7丁スポロケをクローラ内にくぐらせた状態にしてセカンダリークラッチ側の穴に突っ込みます、結構な重さなので何度もチャレンジすると腕がパンパンとなり翌日は筋肉痛が残る程です。

 続いてミッション側の穴に入れ様とするのですが、クローラのラグがスポロケ回転部周辺にかちあって仕舞いどうやっても逃げスペースがまったくなくなるのです、これを何とか回避したいのですが難関でした。

 散々悩んだ挙句最終手段としてミッションケースも取り外す事にしました、これで僅かですがちょいスペースが広がるので何とかならないかと思った訳です、それで挿入できた次第です、今後スペースギリギリのクローラ装着する場合は当初からミッションケースも外した状態で作業する事に致します。 

 まぁ〜そのくらい余裕がないと謂うことです、、今思い起こしますと別にラグ高が2インチに拘る必要ってあったのかなぁ、、、と疑問に感じております、もちろん 新型車両は3インチ(約7.5p)も御座います、経験上スタックした時のモービルの嵌まり具合は半端な深さではないのです、引き上げた時の嵌まり穴見てよくも掘ったと謂うくらいものすごい穴になっています。

 ですからグループ走行しなければスタック時に手が借りれなくなります、経験から振り返って湖面上であれば1.5インチでも十分圧雪はいたしますし、走行時ボンネット下部がつかえて大量に雪を押しながらの走行が続いて仕舞うと、最後は前進力を失ったクローラは雪を掘さげてスタックして仕舞う以外逃げ場がなくなるのです、一夜にして40cmを超える積雪が該当すると思います、毎回謂いますが、どの様に優れた新型モービル購入しても必ずスタックは起きます、人はそれなりのやっては行けない限界へと向った走行をするのでやむ事はありません、それを限界突破と謂うのかも知れません、

 クローラの長さ、そしてクローラ全体の圧雪(接地)面積、更に雪原を蹴り上げるラグの高さは一見強さに見えますが、同時に前進負荷になれば雪を激しく掘る強さに化けて行くのです、いずれもバランスが深く関与しております、しかしあくまでも基本は車両重量バランスとの調合です、それが上手く噛み合いが取れていて初めて発揮出来るので、車両重量の重さは致命傷となるのです、車重の重たい4スト車やヤマハのビジネスモデルVK540(バイキング)等は特に車重面で嫌われる要因なのです。

逆にこのPZ480cc(乾燥重量172kg)はそのバランス性能に優れている為、人気が高いのです。

  

 8丁から7丁スポロケに落とす事で最高スピート到達迄が長くなってしまいます、それはスポロケの外周が小さくなった影響がでて仕舞う為です、これを改善するにはミッションケース内のドリブンギヤを31Tギヤから35Tギヤへと替えなければなりません、しかしドリブンギヤのみ購入し交換しようとすると、既存で使用していたチェーンが短く収まらなくなって仕舞います、初めは何故収まらないのか解らず、ヤマハ技術に連絡したところ回答としてミッションケース内の上部ギヤも合わせて既存ギヤより小さくしなければ装着出来ないことがわかりました、しかしその上側のギヤは既に販売終了となっており日本では手に入りません、部品番号88Fー17672ー60 16Tギヤです、ドリブンギヤは88Fー17672ー20 35T現行販売しております、この2セットは必要となります、現在USヤマハで売られているので取り寄せ中です、到着迄日数がかかりそうです、到着次第取付いたせばほぼ156への改造は完了する予定です。

 つづいて滑り止めステップの加工

下記写真は滑り止めの為にアルミのLアングルを一定間隔で設置しました、頂点に刻みを施すことで劇的に乗り心地が改善されます、これを設置してからの評判はよく最近好評を頂いております。

  

 ここからはプライマリーシーブ(クラッチ)修理とコイルスプリング交換について

 中古スノーモービルの場合年数劣化の影響か、走行距離の影響か不明ですが、エンジン始動致しアクセルを開くと一定の回転数まではプライマリーシーブが開いた状態で回転します。
徐々に回転域を上げると約3000rpmくらいでクラッチイン(閉じる)いたしクローラ回転が始まります、スロー回転域(1200rpm前後)からクローラ初期回転する間の空回転域が御座います。

一方プライマリーシーブ内に装着されているコイルスプリング強度が劣化して来ると、2500rpm前後で初期回転が起こり、十分な初期スタートトルクが発生できない状態で走り始める為、トルク減少して力強いスターができません。

所謂スノーモービルはこの空回転域が一定回転域ない場合、初期スタートを起こす十分なトルクが引き出せません、この原因として2つ御座います。

@ クラッチ内装着されているコイルスプリングが経年劣化によって強度不良によるもの

A クラッチ内装着されているウエイトコンプリート(重り)が摩耗(減った)影響によるもの

この上記2点によることが多いですが、ただしAに関して謂えば殆ど摩耗することがないので@を疑って下さい。

@のコイルスプリングを購入する場合、種類が多いのでどれを購入したら良いか迷う程数十種類に別れています、そこで標準コイルスプリングは90501-527G1 色別 赤-青-赤 

2500rpmくらいで初期スタートして仕舞う場合でしたら、標準コイルスプリングより若干強度の強い90501-550J8 色別 白-桃-白を装着させてあげれば3000rpm前後に戻せるはずです。

最後になりますが、プライマリーシーブを外すときはヤマハ発動機から特殊工具を買わないと外せません、更にエアーコンプレッサーを用いてエアーインパクトレンチとソケット22mmのロング、肉厚のソケットがよろしいです、ペーパー状のクランクシャフトに超ガッツリ嵌まっているので、手動型インパクトレンチではかなり苦労するばかりか、怪我すると危ないので注意して下さい。

一度でも外している様でしたら、手動型インパクトレンチでも簡単に抜き取れると思います、何れにしても専用工具は不可欠です。

他に準備するもの、パーツクリナー缶、シリコンスプレー缶、真鍮製のプラシ、使用済みの歯ブラシ、ウエス、錆びが見受けられる場合は、ワコーズの研磨クリーム(メタル)、酷い場合は800番以上の紙ペーパーを準備して置くとよいですね、これらを使ってアルミ製クラッチにこびり付いた付着したカーボン粉を落とし、スッキリ開閉できる様にクリーニングしてあげて下さい。

 

 

 

 ここからはファンベアリングの交換

 エンジンスタートと同時にプライマリーシーブ(クラッチ)からカシャカシャ音が聞こえる他、ファン付近からも異音が聞こえる場合があります、ファンにはベアリング2個(Wベアリング構成)装着されており経年劣化で摩耗がすすむと異音発生します。

放置して置いた場合、エンジン冷却効果に過大な影響となるので見過ごせません、最悪オーバーヒートどころかそれを乗り超えてエンジン焼きつきへ直結するので重点整備箇所に加えて下さい。

 ファンベアリング ヤマハ純正933306-20315(B6203) 外径40mm 内径17mm 厚さ12mm アマゾンでもNTN社製ベアリング販売があり半額以下で購入できます。

 

 

 ファンベアリングの点検方法は、正面向ってエンジン左側のチャンパー(マフラー)上部を覆うファンカバーを取り除くとファンのセンターボルト(24mm)が露わになります、このボルト外すには、回転部なので何かで押さえながら抜くには無理があるので、こう言う場所はエアーインパクトレンチを使うと意図も簡単に外すことができます、外すと写真で見て判る様に合わせホイール状になっております、外側ホイール側にシム1枚、そして内側ホイールとの間にシム4枚で構成されています、外内のホールとシムすべてはズレない様にセンターピンが溝に嵌る構造となっています。

取り分けベアリングが僅かでも痛んでいなければ再度元通りに組み立てます。

万一手で廻し僅かでもジャリジャリ感やひっかかりがある場合は即座に交換が必要です。

ただし、点検だけでしたらホイールを外すとベルトも外れるので、手で廻しながら正常かどうか確認可能ですが、ベアリングに不具合がある場合は(異常の場合)交換しなければ行けないので、この外し方ではベアリング本体を抜いて嵌める作業ができません。

エンジン分離作業の「Cの写真を参照」願います、完全にエンジンを降ろす必要迄はないですが、エンジンとファンおよびリコイルが合わさって装着されている箇所の12mmボルト数か所を外し、完全に撤去させた状態にしてから圧入プレス器上で抜くか、あるいは150cm〜200cmの大型万力に挟みながら同サイズ程度のロングソケットで押し出してもよいと思います、挿入は逆の手順となります、何れにしてもリコイル部とファンベルトが併用されているので、ファンボルトのみを外して点検はできますが、交換は難しいかと思います、もしかしたらベアリング内径穴側からツメをかけるタイプのベアリング外し器を使えば抜くことは可能かも知れません、しかし新しいベアリングを挿入する時どう工夫するかですね、

急がば廻れじゃないですが、作業しやすい手法として一旦車体からリコイル止めボルトを外せる程度に、エンジンを浮かせて分離させてから交換した方が確実かなぁと思います。

 

 

 すべての配線カプラーを抜く必要はありませんが、ピックアップコイルの線とイグニションコイルの線は分離します、写真上左側1〜3のボルトを外すとベルトとケース本体をエンジンから分離しますが、先に写真上右側のファン止めボルト(24mm)をエアーインパクトレンチで先に緩めて置いた方が作業が楽です。

 

 

 写真上右、シムが4枚入っているので落とさない様に気をつけて作業して下さい。

 

 

 ベルトホイールは合わせホイール、写真上左ファンシャフト中央部の溝にカムピンが入っており内外およびシムがカムピンで動かない様固定されています、カムピンは溝に挿入されているだけで特に固定されていない為、簡単に抜け落ちるのでエンジン底へ落とさぬ様気をつけて下さい。

抜去と圧入はプレス器にベアリング外周同程度のアタッチメントを間に噛ませることで作業を進めます。

無い方は上にも書いた様に大型万力(150cm以上)で作業して下さい。

  最後に完成写真を載せる予定です今しばらくお待ちください。 

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