ヤマハ 2スト エンタイサー400T/R(ET400T/R) エンジンピストンの抱きつき修理 一旦ET340ccエンジンに載せ替えて代用 一年越しで中古シリンダーを探し求め交換とエンジン腰下の一次圧縮修理 136インチの純正ペラペラキャタからPZ480ロングクローラへ変更 |
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更新2023.0605 公開日2022.04.04 | ||
車両基本データ メーカー ヤマハ発動機 エンタイサー400T/R 全長2930mm 幅990mm 高さ1080mm 乾燥重量214kg エンジン強制ファン空冷2サイクル 2気筒並列 最高出力37PS/6500rpm 最大トルク4.3kg-m/5500rpm 総排気量408cc 始動方式 セル&リコイル ギヤ方式 前進及び後退 フレーム方式 アルミ+スチール 燃料タンク25L OILタンク2.4L ブレーキシステム ディスクブレーキ 乗車定員 2人 1989年製造 車体番号 |
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購入から走行試験までの主な経歴 2021年4月もともと不動だった廃車スノーモービルを購入し、再び走行できる様4月〜12月にかけて断続的に整備を進める、主だった部品を取り外しては分解動作確認を繰り返し、錆や劣化油の注入や固まった油の除去を含め清掃、そして調整を図り動作の著しい個所は交換を進め、中古または新品部品の調達、入手次第交換を進め、最後にクローラ部(キャタピラ)へのグリス注入そして動作の悪いホイールベアリングの交換等行い、車体を浮かしての簡易動作試験を行って、始動上の確認ができた後に車両底部とスキー等の塩害に強い補助塗装を行って完成させ、2022年の冬季シーズンになってようやく雪上にて本格テスト走行まで漕ぎつける事ができました。 テスト走行地は福島県猪苗代町の秋元湖及びその周辺にて約4回に分けて繰り返し走行試験を重ねました、先ず初回の走行は現地にてエンジン始動するとキャブレター付属のスローバルプに不具合があってスローが不安定の為断念、一旦モービルを持ち帰り修理交換を行った。 2回目再び現地にて走行試験を行う、順調にセル始動いたし課題だったエンジンスローも安定したことから、走行試験開始の為湖上に乗り入れる、湖上の広々とした場所に入ると徐々にアクセルを開け高出力へとアップ、スピードもぐんぐんと加速し最高速まで達する、特に足回りの異常もなく、エンジントラブルもなし、プライマリークラッチの異音なしスムースな開閉と主だった問題は見つからなかった、約6km前後の走行試験を終え無事終了した。 3回目前回の走行試験で特に問題がなかった為、秋元湖近くで新たに借りた専用駐車場へ保管の為移動いたし、保管場所の確保を行う為、このモービルで雪原を乗り回し平坦に圧雪し置き場を確保、次に車体へシート等をかけ現地保管となった。 4回目モービル初めてと言う初心者が参加することとなった為、このモービルを運転し湖上で基本運転の為の練習を行った、練習時間は前進や後退も含め基本的な曲がり方や曲がるための体重移動等を中心に約1時間半に渡って行った、次に秋元湖上から林道へ移動するため湖の端迄高速運転にて移動した、その移動後半にクラッチ側のエンジンピストンの上面、排気側付近に抱きつきが発生するという重篤なトラブルが発生した、一時冷却後エンジン再始動し数キロの走行はできたが、最終的にエンジンはふけ上がらず、始動すらできず他のモービルに牽引されて引き返す事となった。 |
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不具合個所の特定 原因はクラッチ側エンジンピストンの抱きつき 破損したピストンは2気筒エンジンのクラッチ側で、ピストン最上面の排気側の角が欠けて破損、上段のピストンリングが真っ二つに割れ、下段のピストンリングが変形し溝内にすっぽりと入りこんだ状態だった、互いがまともに擦れ合いシリンダーブロック内の壁面もご覧の様に縦傷だらけです、エンジンの圧縮比を計測すると標準圧縮比7kgのところなんと圧縮比0kg状態でした。 以下現状写真です、 |
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正常なピストン 製造から長期間経過したピストンリングは正常な張力を失っている場合も多く、正常な張力が効いたピストンリングはピストン外周より一回り飛び出す程広がっているのが普通でシリンダーブロック内の壁面に精密に完全密着し圧力を維持、しかし走行過多や経年劣化が進むと張力を失ってくるので半分程度溝内に収まったままの為、圧縮比が減少するばかりか、進行するとピストンの外周とシリンダーブロックが直接擦れ合う事となり、そうなればエンジンは極度の加熱状態となりオーバーヒートも起きやすくなる、またシリンダーブロック内の穴壁面にも深い傷がつき、最終的に始動できなくなって仕舞います。 もちろんOILポンプにも何らかの故障が起これば数分で焼き付きを起こしクランクが折れる、曲がる、クランクケースに皹が入る、あるいはケースから突き抜け使い物にならなくなる。 ヤマハ発動機 スノーモービルのピストンリング交換時期は平均どのくらいで行えばよいのでしょうか? 専門店に言わせると 特に規定は御座いませんが経年劣化で起る金属疲労を考慮すれば、4,000kmを超えたら、あるいは走行距離が浅くても製造後20年経過した旧モデル、増して今回の様に5500km程度ならばいつ抱きつきを起こしても不思議では御座いません 。 これらは一定の時期が訪れたら交換をお勧め申し上げます、破壊させてから慌てても修理代が高額となり、程度にも寄りますが廃車も考えなくては行けないからです。 |
左破損したピストン 右新品のピストン |
クランクに装着した新品のピストンリング挿入後のピストン |
上記写真を見れば一目瞭然ですが、シリンダー内壁面に無数の縦傷が入り、無数の凹みも発生、エンジン焼き付きと違いピストンとシリンダーブロックの固着はなく、また腰下部のクランク及びシャフトへのダメージが少ない事から、腰上の修理が上手く行けば復帰も可能である。 シリンダーブロック再生するには、通常0.25mmの拡大した穴を開け直し、新品のピストン、リング、ベアリング、ピンの一式をセット交換、2気筒エンジンであればダメになった1気筒のみ穴拡大すればエンジン始動そのものは出来るが、左右エンジンの振動バランスが崩れる為、左右シリンダーブロック同時に加工しなければならない。 所謂「ボアアップ」若干ながら排気量(10ccUPするかしないかの程度)も上がります。 あるいは、一番安く仕上げるのであれば同型の中古シリンダーブロックとピストン購入し入れ替えられれば安く済ませる事も可能ですが、運よく見つかればよいですが、元々中古としても数が出てないので、相当広範囲に探しても、欲しい時に限って容易に見つかる物ではありません。 |
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ダメ元でシリンダーホーシング 諦めが悪い制ですね、ここから道草の世界へ入って無駄な苦労と時間、そして余計な費用を対やして仕舞いました、 |
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アマゾンからシリンダーブロックホーシング用の機器を購入し、3つの 回転砥石に作業前OILを十分浸して置き、たっぷり浸み込んだ頃を みはらかって、電動ドリルにセット、高速回転で砥石280番を廻し 磨いて見た。 ソコソコは綺麗に壁面回復する、ただし深い傷は残ってしまい、それを 消すとなるとおそらく上下疎らに歪む形になるので、それ以上の研磨 避けました。 ワコーズのメタルコンパウンドで更に仕上げ研磨し、パーツクリナーで 洗い流す。 そのままエンジンを組み上げ車体に戻し、エンジンの圧縮比を計測して みたら、圧縮比7kgまで回復、これなら大丈夫と思い込んでエンジンを 始動して見た。 結果は下段に書いた通りです。 仮にホーシングで治れば運が良い方かも知れません!! 余程浅くて微細な傷の修復程度がよいところでしょうか |
エンジン分解と修理 先ず予算をかけずに修理したくなる心理がどうしても働いてしまいます、その為に毎度余計な道草を散々辿ってしまい、最後に気づくのですが、、、、 1 当初からこのエンジンは諦めて別のエンジンを乗せ換える!! 2 何とか安く修理する!! 何故か? 今回は2を選択してしまったのが大きな誤りでした、結果として調べて行くと後からいろいろと難問に嵌まって行きました、それらを取りまとめて見ました。 @ 1989年製造から33年経過の旧車です、替えのシリンダーブロック及びピストンとピストンリングが手に入るか調べて見ると、他の近い車種(ET410U)を流用すれば何とか修理可 A 部品予算を算出して見ると、シリンダーブロックx1 55,000円(超高額) ピストンx1 5700円 ピストンリングx1 3700円 B 他交換時のシリンダーガスケットやシリンダーヘッドガスケットx2 1600円 ピストンベアリングx1 1800円 ピストンサーフクリップx2 180円 C エンジン分解組み立て時のケミカル類 ワコーズラスペネ1缶1800円 シリコンスプレー2缶440円 オイルスプレー1缶220円 ねじロック剤1本1700円 カーボン除去用のエンジンコンディショナー1缶x1000円 ワコーズ磨き剤メタルコンパウンド1本2300円 その他清掃の為のロールウエス等500円 D エンジン(腰下・腰上・カバー・インマニ・Yパイプ等)関係ボルトをすべて規定トルクで固定する為のデジタルトルクレンチ 11,000円 ※ 高いので購入にはちょと躊躇ったがピストンリング交換や閉めすぎでボルト折れも考えての入手 いろいろと修理を進めると@〜Cすべてかかる最低限の部品や備品費用となる、自身で行う為工賃は100%無料、それでもAのシリンダーブロックが高額なため、破損したシリンダブロックを0.25mm拡大するボアアップと云う治し方がある、しかしこのモデルの場合そのサイズに似合ったピストン販売がなく購入ができない、従ってこの方法での選択はできなかった、そこで新たに選択したのが、ダメ元でシリンダーホーシング機をアマゾンより購入して、シリンダーブロック内の壁面をホーシング加工する事で進めて見た。 結果は最後の方にお知らせしますが、一定程度の傷は修復ができ、圧縮比も0kg⇒7kg付近迄回復できた、これなら大丈夫行けると思いそのままエンジンを組み上げて車体へ戻し固定した、 そして、プラグホールからたっぷりとOILを注入しリコイルを幾度か引いて十分潤滑させながら廻してみると「極小さくキュキュキュと軽く乾いた様な、かん高い異音が出る」、その異音は想像の域だがおそらくピストンリングとシリンダーブロック壁面から出るあたり音と思われる。 次にセル始動させてみるとスロー回転時はまだ少し気になる程度の極小音であるが、徐々にアクセルを開けて行くとハッキリした音となって聞こえた、その様な事態からシリンダーブロックは新品か最低でも程度の良い中古への交換が必要であると判った、ただ新品購入までの予六もない上、中古があれば10000〜13000円程度で入手できるが、残念ながら国内とeBayやセカイモンからも粘り強く探して見たが同型の新品はあったが中古シリンダーブロックは見つからなかった為、暗礁に乗り上げて仕舞った、仕方がなく一旦エンジンを降ろしお蔵入りさせるしかなかった、何時か中古シリンダーブロックが見つかるまでしばらくは待つしかなくなった。 |
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悩んだ挙句出した答えは、ET340CCエンジンを代用乗せ換え 以前から何か起こった場合の対応と保管し続けていたエンタイサー(ET)340ccのエンジンがあった、このエンジンを載せる事ができないか? 早々に車体側のエンジンマウント間を計測して見ると、ほぼ同位置な為合わせて見ると、そっくり載せられるので進める事に決めました。 ET400T/Rはセルモーターとリコイルのデュアル始動モデル、対しET340はリコイル始動のみのモデルです、ET340でセルモーター始動する為には、ET400T/Rから発電コイル上部を被せているフライホイール、これをそっくり移設しなければならない、と言う訳でこの移設作業から先に入る事にした。 ここからが苦労する羽目に!! 早速ET340に着いていたリコイル仕様のフライホイール外しに取り掛かった、超固く締まっていて抜けない、頑なに締まっている事は珍しくもないが、専用工具のフライホイール外しを装着し抜き取るのですが、エアーインパクトを使って閉め込んでも外れない” 仕方なくラスペネが浸透しやすい方向に向きを変えたりや角度を換えたりして吹きかけては、再度フライホイル外しを締めたでも外れない、どうにも外れないので締め込んだままで1日程度放置、翌日再びエアーインパクトで閉めては緩め、再度勢いよく閉めては緩めを繰り返したが、抜けず強固な固着だった、更に思い切った手法に出た、大ハンマーを使ってフライホイール外し器のセンターボルト(押し込むセンターボルト)の頭をガツン叩いて見た、、、 衝撃が伝わったのか微細隙間から瞬時にラスペネが浸透した様だ!! 一瞬割れる様な金属音と共にガツンと抜け落ちたのである、 結局外すまでに延べ2日半くらい格闘したことになった、まぁ〜このモデルの製造から追っても33年間、一度も抜かれた事がないので故に頑な迄に固着が酷く抜けなくても不思議ではありません。 やって見ると判りますが、エンジンシャフトに嵌め込んである反対側のプライマリークラッチも同様に外れません、こちらはヤマハ発動機で販売している専用工具を購入して作業するのですが、排気量の大きい車種程、ガッツリ締まっている為外すのに超難関を極める場合があります。 ※PZページに詳細な外し方掲載があります |
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エンジン乗せ換え作業 長期保管だった為乗せ換え側エンジンET340のエンジンを一旦解体し左右ピストンを抜いてピストンリングの上下2個を新品リングに入れ替えます、ついでにピストンベアリングも摩耗でガタがあれば新品へ交換です。 外したシリンダーブロック下にある紙状のガスケットとシリンダーブロックとシリンダーヘッド間の金属のガスケット左右も新品に交換します。 またピストンピンを止めているサーフクリップも2か所新品へ交換、その為の部品発注を行いました。 数日後部品が届いてから空き時間を利用して作業開始 エンジンを降ろしたり、乗せたりする際の順番は以下を参照して下さい。 ※ チャンパーとプライマリークラッチはET400T/Rのエンジン修理時に撤去済み、またET340側のプライマリークラッチもエンジンが傾く等で落ち着きが悪い為保管時に撤去 |
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降ろす直前の写真 | ケーブル類や燃料ホースを外す | キャブレターを外す |
冷却ファンを外す | OILポンプを外す | セルモーターとフライホイールの写真 |
セルモーター固定ボルト上下2か所を外す | エンジン撤去後の写真 | |
カーボン除去後のピストン上面写真 | シリンダーヘッド裏面カーボン除去した写真 | エンジンコンデショナーにピストン漬け置き |
クランク先端に新ピストンベアリングを装着 | 新しいピストンベアリング | ピストンピンにシリコングリスを塗る |
以下写真を省きますが、エンジン組み立ては逆の手順にそって行います、また ピストンリング挿入の仕方はPZのページも参照下さい、ピストン側壁リング溝上下それぞれにボッチ打刻がある個所を中心にしてリングを挿入しますが、リングには表裏があります、リングの割れ面を正面から覗いて「逆ハの形」にして装着します、この意味が判らなく間違えて装着すると、シリンダーブロック挿入時にリングを溝に合わせて左手で押さえながら、右手でシリンダーブロックを持ち平衡、そして均等にピストンを挿入して行きますが、間違えて逆にリング装着すると完全に溝に収まりません、その場合、リング外周がつき出しているのでシリンダーブロックの外周にあたって挿入ができません、その時はピストンリングの挿入が間違っていると思って下さい。 長年装着していたピストンはカーボンで焼け打刻ボッチが見えない、あるいは判り難いのでエンジンコンディショナーを用いて洗浄、それでも取り切れない部分はメタルコンパウンドを指につけて擦って下さい、大方綺麗になったらパーツクリナーで洗浄しメタルコンパウンドを完全に拭き取って完成です、クランクへ装着前にOILスプレーをピストン全体に噴霧してから装着作業を進めて下さい。 |
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リング装着には左の写真を参照願います | ||
エンジン乗せ換え後の圧縮比計測 既に33年前に製造されたエンジンですがピストンリング交換を終えた直後ですが、見事な圧縮比を保っておりますね、ヤマハ発動機の精密に拘る当時の技術者魂が伝わって来ます。 |
リコイル側エンジンの圧縮比7kg | クラッチ側エンジンの圧縮比7kg弱 |
キャブレターのパイロットスクリュー調整 バッキュームゲージ装着時の写真です。 |
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4連バッキュームゲージなので左端を使用 | パイロットスクリューを微妙に廻し針が一番振れる位置で止める |
接続の仕方はキャブレター上部のチョークワイヤー近くに黒い キャップがある、赤い矢印の個所を探し黒キャップを外してホース と接続させる。 次にエンジン始動致し、十分な暖気運転を行った後に赤丸で囲っ たバルプを針がぶれない位置に閉める、針が一定の位置に落ち 着く様に閉める、針が落ち着いたらキャブレターのパイロットスク リュー をマイナスドライバーを用いて微細に廻しながら針の 最大値を探りあてる、、、、エンジン音を聞きながらの調整と比べ、 目で確認しながら行う為狂いがなく正確な燃調をわり出せます。 特にツインキャブ以上であれば同様に気筒数に応じて数か所へ 接続いたしすべて一定の位置に針が揃う様に調整する事が できる。 |
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エンジン載せ替え直後の再始動の様子 |
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一年越しで中古シリンダーを探し求め、降ろしていたエンジンを再修理 |
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タイトルにも書いた様に代替エンジンを載せてから1年後、ET410U型の左右中古シリンダーが出品されたので競り落としました、数年に一度出品あるかないかなので入手は極めて難しかったのですが、左右27000円+送料2100円でした、1つに換算すれば1万3千5百円なので相場としては並みかと思います、序に同型のクランクケースも出品されており1500円で落札しました、この時は後に必要になる? 等まったく思いもしないでただ何となくあった方が安心かなぁ程度の衝動買いです。 っと言う事出同じ出品者から購入したのはET410U型の左右の中古シリンダーと中古クランクケース、そして廃棄するとの事だったので破損したコンロットやベアリング、クランクがついたエンジンシャフト一式を送料のみで頂きました、何故頂いたかと申せば、廃車へ至ってしまった原因を重要視しているからです、入手したエンジンシャフト一式を手に取ると5個あるベアリングの中程のベアリングがジャリジャリとなってひっかかる状態でした、著しく負荷がかかってエンジン焼きついた様です。 普通に乗車している程度であればエンジン焼きつきは起きないので、何故ドライブシャフトベアリング破損が起きてしまったのか? これがポイントです。 「畑に融雪剤を捲くために1トン程度の融雪剤」を積み込んで走行し、結果シャフトベアリング破損に至り廃車となった様です。、 破損したベアリングはプレス機を使って抜く気になれば交換可ですが、今だやった事がないとおっしゃってました、その内暇を見ては私もチャレンジしようとは思っていますが、狂いなく抜く前と同じ位置にピッタリ挿入できるか難しそうです、各ベアリングは凸状ボッチがあり、受止めるクランクケース側には凹状の溝がありこの両者がピッタリ上下噛み合わさる位置にベアリングを圧入せねばなりません。 理屈上では理解しておりますが、数ミリ狂っただけでも挟まらないので何度も圧入プレス機に装着しては微妙な調整が必要な作業となります。 値段はともかく調べた訳では御座いませんが、噂によれば内燃機関専門店に出せば入れ替えをして頂ける様です。 |
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上記2枚のシンリンダー写真ですが、新たに購入した中古シリンダーと並べて写した写真です、縦傷の著しい方がET400T/Rシリンダーで無傷のシリンダーがET410Uのシリンダーです。 写真上では大変判り難いですが、見た目は何処から何処までが一所と感じましたが、いざET400T/Rクランクケース内に挿入して見ると、ET410Uのシリンダー挿入口が若干長過ぎてぴったり収らず幾分上に突き出た状態となって仕舞いました、つまり若干シリンダー長が長い制です、長い分を削って合わせる事も考えましたが、見妙な場所故に断念。 そこで予め何気なく購入して置いたET410Uのクランクケースもあったので、ET400T/Rのクランクケース使用を諦め、ET410Uのクランクケースと左右シリンダーをセットにして移植を試みて見た所、なんとET410UのクランクケースにET400T/Rのエンジンシャフト一式が丸ごと収まる事が判明、っと謂う訳で新たな手順として作業を進める事にしました。 ※ もしET410Uのクランクケースを購入して置かなければ絶対無理でしたね。 |
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既に降ろした状態でエンジン保管、そのエンジンを逆向きに倒して固定ボルト4か所を外しマウントから先に撤去します。 エンジン底蓋の写真はPZ480で行った作業をご参照願います。 |
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エンジンを反転させて裏側から開けた写真です、開ける時注意したいのは上写真左のピンク横線で印を付けて置くと後で凸凹ボッチ合わせで苦労しないためです。超簡単にくるくる廻ってズレてしまうので合わせるのが一苦労です、やり方としては右端(5)のベアリングボッチから左側(1)へ一個ずつ合わせ揃えます。 |
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多少凸凹ポッチの位置が不正確ですがこの様な感じで合わせると空きなく綺麗に収まります。 尚、クランクケースの下蓋の合わさり面に液体ガスケットを塗ってから半渇きにして収めるとより密着させる事が可能です。 更に閉じる前にベアリングにシリコンスプレーを塗布しよりスムースな回転ができると尚よろしいですね。 |
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一次圧縮比の修理作業 エンジンシリンダー交換ついでに、一次圧縮比が新車製造後約25年以上と長期経過している為、エンジンクランクケース両端のオイルシールも交換し従来の気密ある圧縮比へ回復させる為、ここで修理交換致しました。 先ずは下記写真をご参照願います。 |
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上記左写真を見て頂くと判ると思いますが、青丸で囲んだオイルシールはクランクケースの両側(青と赤丸印)に通常装着されているのですが、このET400T/Rは発電機側の装着のみで、プライマリーシーブ側の装着が見あたりません、当然ですがオイルシールで塞がなければ一次圧縮が外部に漏れてしまい、エンジン始動ができません、あるいは始動しても不安定でスロー維持も難しいでしょう。 通常のヤマハ発動機スノーモービルエンジンと構造が違うので、ここはヤマハ発動機へ問い合わせて見ました、上記右写真のオイルポンプ赤矢印の黒色オイルシール(表側)の真裏(オイルポンプのエンジン側)に当たる部分にもオイルシールが装着されており、ヤマハの説明によればそのオイルシールが外部と遮断しクランクケース内の気密維持しているとの回答でした。 続いて下記の写真を参照願います。 |
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上記写真は本体からオイルポンプとエンジン回転計ケーブル撤去した写真、エンジン側に装着されているオイルシールです、注目して頂きたいのはオイルシール中央部リップバンド(赤矢印)が破損している事が確認できます。 これではエンジン腰下内の圧力維持(一次圧縮)ができず外部へ漏れ出し空か空か、どうりでエンジンのかかりが悪い訳です。 それと厄介な事にこのオイルシールは販売完了品(在庫完売部品)で日本のヤマハ発動機から購入する事ができません、そこでUSヤマハで販売していないか調べたところ運よく在庫有りで、取り寄せするのに1ヶ月かかってやっと到着致し交換できました。 。 このオイルシールを新品へ交換しなければ、一次圧縮がないのでエンジンとしては始動困難、廃車が差し迫っている状況です、従ってとても重要な部品の位置づけとなります。 一方それに対し発電機側のオイルシールはヤマハから純正品の販売があって、ただどちらも同時交換しなければ修理としてはまったく意味がありません。 |
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つづく 最後のつぶやき これでやっと一連の修復作業を終えました、既に4月上旬に入った為雪解けも相応に進んでるでしょう、無理をすればまだテスト走行できない事も御座いませんが、今年は如何せんガソリンが高騰しており、クローラを上げた簡易駆動試験を終え、後は来シーズンへ持ち越し致します。 エンジン以外は前進後退等も含め動作良好に仕上がっており、余程の見落としでもない限り、これ以上の問題発生はでないと思っております!! 一つ言える事は、中古モービルともなれば真の破損部が見えず隠れている可能性があり、幾ら手を加え整備修復しても雪上での走行試験は必要不可欠です、、、 それらを以下に引き出した上で修理すればしばらくは問題なく乗車できるからです、、、特に致命的なエンジン内部の破損、そしてOILポンプの不具合も致命的です。 今年も数人がオークション上で車両購入し、エンジン始動するから湖上でも走れる、結果湖上での立往生、無整備が原因と云う事は云う間でも御座いません わかさぎ釣りでよく聞く不具合のまとめ 突然始動しなくなった 安全停止装置スイッチが動作中あるいはアースに落ちたままの故障等 最悪エンジンの焼きつき アクセル開いても走り出さない ドライブベルトの消耗による空滑り 痩せ細り過ぎ プライマリークラッチ内部の動作不良 湖上から戻ろうとセルをいくら廻してもエンジンがかからない 一次圧縮漏れ 負圧燃料ポンプの経たり キャブ内部の詰まり プラグキャップ抵抗値関係 未整備車両は何時でも起こる危うい症状です、結果として付き纏うのが湖上立往生で大きなお金を拠出する羽目になり、気を揉める事態となります。 経験者ほど解ると思いますが、心底気は揉めるし嫌気を刺しますよね!! モービルを手放す側(売主側)の心理も考えねばいけません!! 例えば、修理すれば飛んでもない費用がかかるので!! 殆どがこの理由からではないでしょうか? 中には知っていながら伏せて売る方も普通にいるはずです、 逆に散々乗って飽きたから、売りに出すライダーっておりますか、、、極めて少数派です、それ以前に必ず修理時期が来てるのに放置!! これらが裏に隠れているんで、売りに出るんですね。 購読されて気づかれたと思いますが、幾ら整備してもたった7km前後の走行でエンジン抱きつきです、左右圧縮あるエンジンだったとはいえ走行5500km、そして製造から20年以上、ここを重く見るべきでした、その上でエンジン上部(腰上)をばらし、クランクのガタ、シリンダー内壁の目視、シリンダーヘッド下部とピストン上壁のカーボン除去、更に新品のピストンリングやピストンベアリング、シリンダーガスケット等の交換を行っていれば、、結果としてエンジン載せ替えせずとも済んでいました、、、、、経験にはなりましたが、、猛省 せめて疑って治す事を前提での心構えは必要です、お浚い致せば中古で程度のよいモービルなど限りなく見つかるはずもなく、ましてエンジンがかかるから湖上で走れるではありません、 であれば初めから動かない車両を動く様にした方がまだ救われます、間違ってもこれ以上の修理も出てこないからですね、 |
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